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ジプシー

 没落貴族のボリスは月に一度の金策に出掛けたが、有力者とは面会してすらもらえず全て門前払いを食らい途方に暮れて歩いていた。


 食べるだけのお金は王国から支給されていたが、屋敷を維持したり使用人を雇うには全く足りず。使用人は10年前に全て解雇し、屋敷は屋根に大きな穴があきコウモリが住み着くようになったがどうする事も出来なかった。


 通りを歩いているとジプシーの占いテントが見えた。旅をしながら各地を回っているのだろう。


 ボリスは愚痴や不満を吐きたくて吐きたくて仕方がなかった。旅のジプシーになら愚痴を吐いたところで数日も経てばいなくなる。まさか自分のような貧乏人の弱味を握ったところで脅迫はしないだろうと周囲を見回してからテントに入った。


 テントの中には4つ胸のある綺麗な女がいた。

 ボリスは思った。胸が4つもある奇形はまともな職にはつけないが、ここではただ者ではないという演出になるんだなと。


 ボリスは自分はさっぱり運に見放されどうにもならなくなった。この先の運命を見てほしいと占い師に言った。


 占い師は水晶を覗き込み言った。「あなたの運命は今のまま歳を取って亡くなるか、酔っぱらい自殺をするか、盗みを働いて捕まるかのどれかです。ただ、弱い運命の糸ですが。田舎娘と結婚して農夫として幸せそうに暮らす未来も見えます」


 ボリスはため息をつくと占い師に言った。「ずいぶんはっきり言うんだ…。まあ俺も俺の人生なんてそんなとこだと思ってたよ。農夫か…俺に勤まるんだろうか…」「なあ、占い師さんよ、男爵家を復興させる方法は全くないのか?」

 ボリスがそう尋ねると占い師は困った顔をした。言うべきか決めかねているようだったが意を決して話始めた。

「この街の貧民街に悪魔に魅入られた小さな女の子がいる。その女の子は公爵家にメイドとして働いていた女と公爵家の跡取り息子との間に出来た子供だ。公爵の息子は欲望を満たすために口先だけの約束でメイドを騙して関係を結び子供が出来ると母親に泣きつき、後始末をさせた。あまりにも酷い仕打ちにメイドは打ちのめされ生活は困窮し最後は売春宿で働きながら娘を育てていたが客に殴られ負傷しベッドから起き上がれなくなり呪いの言葉を吐きながら3日後亡くなった。母親の横にいた娘は神を呪い悪魔に助けを求めた。そこに低級悪魔が現れて娘と契約したのだが酷い契約で、悪魔の力を貸す代わりに魂の半分を貰い20年後更に残りの半分をもらうというものだった。悪魔は娘があと2日で餓死する運命だと知った上で契約を持ちかけた。もしお前がその娘を救い娘の願いを叶える手伝いをすれば家は一時的に復興するが、娘の願いはこの国の滅亡だからお前も巻き込まれ酷い最後をとげる。それだけはやめた方がいい」そう言うと占い師は疲れた顔をした。


 ボリスは言った「このままみじめに暮らすよりそっちの方がマシじゃないのか」と

 占い師はため息をつくと「その娘は実の父親の公爵の子供を産み、育ての親になったお前とも関係を結ぶ運命だ。全てを呪う災厄だ。その娘を育てるということは疫病と一緒に暮らすのとなにも変わらない、考え直すのがお前のためだ」と言い時間になったと料金を請求した。


 ボリスは好奇心に駆られ貧民街に本当に死にかけた女の子がいるのか見に行く事にした。


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