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破滅の足音

 私はノアに閉じ込められて、その行為が大昔の私が彼にした事と同じだと知って喜んだりもしたのだが、その思い出によって婚約破棄を考えていた。

 灰色の影と呼ばれる婚約者であるが、そのグレイの髪は銀色に輝いてとても美しく、水色の瞳は宝石のようでもある。

 いや、彼が私のようなどこにでもいる茶色の髪に茶色の瞳でも、私はきっと彼を守ることを選んでいただろう。

 王子というだけあって彼の仕草は洗練されているし、いや、彼が粗野でも、彼は私を色眼鏡で見たりはしないのだ。


 同学年の男の子達は私を遠巻きにする。

 まあ、同年代の同性にこそ遠巻きにされているのだから、異性の彼らに嫌われるのは仕方が無い事だろう。

 ただ、私が傍にいる事で、ノアこそ人を失っているのだ。

 彼が学園にいる間、彼こそ友人知人を作らねばならないだろう。


 だから、絶対的に安全なクラブに彼が入っていると知り、私はそのクラブに入会することは止めた。

 女の子しかいない所だから少々その決断をするまで私は葛藤したが、自分以外の女の子に触れ合う機会は必要だと決意したのだ。

 好きでもないがいつもそばにいて手ごろだからと結婚されたら、私が彼を好きな分、絶対に辛いはずだと言い切れる。

 その決断によって、今はこんな目に遭ってはいるが。


 私はノアの行った事に、嬉しいような悲しいような気持ちである。

 ここまでやったのは、私がノア暗殺の計画を立てた黒幕であるという噂に対して信じていないとの意思表明だ。

 でも、その意思表明を確かなものとして周囲に知らしめるには、彼は私との婚約を続行し続けなければいけない。


 愛など無いのに?

 私達は婚約破棄の話し合いをしていたのではなくって?


「どうしたらいいのかしら。証拠なんか無いのだし、逃げてしまって有耶無耶にした方が彼と私の為にはいいかもしれないわね。おかしな濡れ衣がある女なんか、王子様の婚約者でいられない。婚約破棄が出来るわ。」


 では逃げるか、と決意した時、私を閉じ込めた部屋の外で大勢の足音が響いた。


「うわあ、開かない!」


「どうしよう!王子の命令なのに!」


 どっちの王子の事だろう?

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