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終の始まり
「貴方に付与される貴方だけしか持ち得ないスキル、そんなユニークスキルをランダムで決定いたしまーす!さぁさぁ!覚悟が決まったらボタンを押してくださいね〜!」
女性のナレーションが1分ごとに繰り返しリピートされている。
目の前の大きな液晶画面にはいろんな文字が読みとれない速度で変わっている。
凝視するとちらっと【英】の文字が端に見えた。【英雄 】だろうか?なるほどルーレットとかそんな感じか。
ここはうじうじとせず潔く行こう。悩んだって未来が良くなるわけでもないのだから。
ゲームセンターにあるような筐体のプラスチック製の赤いボタン、それに手を添えてひとおもいに力を込めた。
「パンパカパーン!パンパカパーン!パンパカパンパカパンパカパーン!!貴方のユニークスキルは【破滅】でーす!それではさっそく異世界へ行ってらっしゃーい!」
その不吉な名前のスキルを引き当てた時、境終はこれから楽しい生活は送れそうにないなと思うと同時に、もう1秒だけうじうじしていたら未来が変わっていたかもしれないと後悔した。