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ファクトリアル (iii)

 ひとつは、倒れたミナスが思いのほかすぐに復活し、ターゲット変更した力のほうへすでに向かっていること。

 あれだけ派手な一撃を叩き込んだあとのリアクションとしておかしくないだろうか。


 もうひとつは、対する力の動き。

 突進するミナスに面と向きあい、冗長な長さの剣を、ななめ後ろに振りかぶっている。

 なにをしている。なぜ逃げない? 

 いくら剣のリーチが無駄に長いとはいえ、あの重量感をしりぞけるのは不利。長さがあればそれだけとりまわしも難しくなる。先ほどのクリーンヒットは不意打ちだからこそ決まった。敵の目の前でふらふら振りまわしたところで、動物のすばやさ相手に通用するわけが。だいいち、攻撃するたびにあいつの武器は縮んでしまう――


 そこで一八は気がつく。疾走如意剣(ランニングソード)すでにそうとう短く(・・・・・・・・・)なっている(・・・・・)ことに。


 棒高跳びのポールよろしくいたずらに長かった刃が、よく見ると、力本人の身長よりは長い程度にまで減っている。ついさっき見たときの半分以下じゃないのか。

 適切な長さに収まるなら動きやすくはなるだろう。だが、力は逃走せず正面きって戦おうとしている。


 剣を振るう。ミナスが顔をそむけてよける。肩口にヒットする。ダメージにモンスターが引く。が、間髪いれず角を突き出し力がすんでで剣で弾く。

 そのたびに疾走如意剣(ランニングソード)はじりじりと刃の長さを失っていく。


「おいっ、サブロー。ギューカクの奴、なにやってんだっ?」ドリブルを続けながら、一八はクラス委員に説明を求めた。

「午角くんにステータス異常が起きている」グラウンドからは5階の教室ははっきりと見えないが、環の動揺気味の声調から顔色が浮かぶ。


 どういうことだ、と一八はボールを蹴りながら端末を操作した(ものごとの同時処理は得意だった)。

 アプリのプレイヤー情報を開く。


  午角 力  装備:疾走如意剣(ランニングソード)  ステータス:歩行困難


 ――なんだ、これ。

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