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逃走 (iii)

 あがっていた息がある程度落ちつくと、一八は交代するよう相棒を呼ばわった。力は続けて走りすぎている。少し休憩をとらせたい。


 近づいた力と並走し疾走如意剣(ランニングソード)を受け取る。一八は改めて長さの不足を実感させられた。

 魔蹴球(ボール)に届かせるには何メートルも要すると聞いているが、手にした剣は、1mどころかその半分にすら満たない。あれだけ走ってこの程度。あと何km駆けずりまわればいいのかとうんざりする。こんなソシャゲ、あっても絶対流行らない。


 一八は速度を落としてミナスの側面にまわった。真横からの攻撃が一番危険が少ないだろう、と環が提案したからだ。

 敵は一八に無警戒。獲物あるいは外敵としてまったく認識していない。先ほど執拗に追跡を受けたのが嘘のようだ。

 機械的な行動パターンに一八は、まるでプログラムに従って動くゲームのモンスターやNPCノンプレイヤーキャラクターみたいだ、と思った。

 これも含めて、すべて担任の教師が作りあげたことなのか。なにをどうすればこんなことを現実に引き起こせるのか一八にはさっぱりわからなかった。

 考えても始まらない。今、なすべきは、このデカブツを倒し教室へ帰還すること。


 一八は真横に剣を振りかぶり、横殴りに剣の柄を、牛の横っ腹に叩き込んだ。

 ミナスがモッと嗚き、足を突っぱって急停止する。手出しした者を目でとらえようと振り向いたときには、一八は足早に逃げだしていた。


 駆けながら一八は疾走如意剣(ランニングソード)の長さを確認する。縮んではいないようだ。刃の部分を用いなければ攻撃しても消耗しないらしい。地味に有用な発見をした気がする。力にも、剣を使うなら柄の部分で殴れと言っておこう。聞かなかったら牛に共食い(・・・)させてやる。

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