ペナルティーキック (iii)
昼食が746円と仮定した場合、3000円高い夕食は3746円となり、
合計すると計算があわない。
連立方程式を用いる。
夕食をx円、昼食をy円とすると、その日の外食費はx+y=3746円。
夕食は昼食より3000円高いので、夕食の額から昼食の額を引くと
x-y=3000円。
ヒントの1行目の時点で、理解の早い天戸羊など何人かは「あー、はいはいはい、そりゃそうだ」と納得する。
連立方程式という言葉やx+y=の文字が出はじめたときには「わかった、あとはもうノーヒントでいける」と黒板に数式を書きつけた。
x + y = 3746
x - y = 3000
2x = 6746
漂木隼冊が、まるでヒントと競争でもするかのように、ほとんど同じ式を並べる。
数学の成績が高い生徒を中心に、ああ、そういうことか、ヒントっていうかほとんど答えじゃん、と理解を示し、そうでない者は、少し遅れて気づいたり、よくわからないままながめたりしていた。
x = 3373
y = 3746 - 3373 = 373
「昼食は373円、これが答えだ」