表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/184

ルール (lix)

 環の失言を気にするそぶりは見られなかったが、気分を害したり傷ついたりしてないだろうかと気を揉む。彼女の心配をよそに、瀬織は別段、意に介する様子はなく「電話とメールがあればじゅうぶん」と言った。


 LINEを教えたくなくて嘘をついているのかもしれないが、そうとう変わり者だ。家庭内もなんらかのトラブルを抱えていることは想像にかたくない。家族との連絡用途もないことはありうる。

 本当にLINEがないのだとしたらどうしようもない。アプリのダウンロードはおそらくルール違反だろうから、強制するのは、はばかられた。これ以上、失言を重ねるわけにもいかない。


「もういいよ。無理にとは言わない」


 環は苦々しさを隠しきれないトーンで切りあげ瀬織の席を離れた。


 ほかの孤立組の須磨(すま)総和(ふさかず)春日(かすが)(つもる)に声をかけていた九十九と目があって、環は小さく首を振る。瀬織(もんだいじ)の説得は空振りだったと。


 本当なら、瀬織に問題を解くチームの一員として協力を頼みたかった。

 彼女が、プレイヤーに選ばれにくい自信があったように、その選出率は秘匿される上位層だ。戦力になることを期待したのだが。


 瀬織ひとりにばかりかまってはいられない。もうすぐ時間だ。環はクラスに呼びかける。


「まだ準備はじゅうぶんとはいえないし、情報も不足している。とにかく身の安全を最優先に乗り切ろ。誰が選ばれても全員が全力でサポートする。プレイヤーになった人も、必ず無傷で教室に帰ってこられるよう、細心の注意を払うこと」


 皆、うなずいてくれたが、環は引っかかりを覚えていた。

「全員」などと言ったが、ひとり、例外(わがまま)を認めてしまった矢先だ。そらぞらしく聞こえたのではないか。だが気に病んでいるひまはない。


 時計が9時52分50秒を示す。

 次のステージが始まるまであと10秒。

 クラスじゅうが張りつめる。


 5、4、3、2、1――


 正確に時間どおり、全員の端末がいっせいに切り替わった。

 アプリ『プリムズゲーム』にアナウンスが表示される。


  ステージ5 モンスター ミナスが出

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ