ルール (xxxi)
説明を求める視線に、征従は苦々しい顔で、先の戦闘で得た知見を話す。
「武器や技は自分で好きに選べない。あらかじめ設定されたもので戦うしかない」
とたんに失望が広がった。助引駆恒が「じゃあ結局、作戦なんてたてようがないじゃないか」となじったが、クラス委員は断言する。「方法はある」
「どんなものが設定されても対応できるように、全部覚える」
「はあっ?」船井夏恋が、驚きと疑問と若干のいらだちを交えて声を荒らげた。
「何種類もあるのに覚えきれるわけないじゃない」「覚えても実際に使えるのはごく一部って、やる気でねえよ」「今後も役にたつものならともかく、ここでしか使えないやつじゃなあ」「先生が勝手に決めたルールに従うみたいでいい気がしないよね」
噴出する不満を環は冷静に受け流す。「間違えないでほしいのは、私たちが巻き込まれたこれは、けして遊びごとじゃないってこと」
クラスメイトがはっとする。まるで今、そのことに気がついたかのように。委員長の九十九だけが神妙な顔つきで、こく、と首を動かした。
「『プリムズゲーム』だなんて名前や、モンスターや魔法なんかが出てくるから、ついそんなイメージをもってしまうのはわかる」環は皆を見まわし淡々と考えを述べる。「でも、これはケガをするし死にもする。遊びやゲームなんかじゃない」
 




