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ルール (xi)

 ヘルプには、くだんの「プレイヤー」の選出方法が詳しく記載されていた。ややこしいのでななめ読みする者が多かったが、大まかにいえば次のような内容だった。


「ある成績」をもとに生徒たちはランクづけされ、順位の低い者ほど選出されやすい。「ある成績」とはどう考えても数学のことだろう。

 事実、メニューのランキングを開くと、おおむね各自の想定する順位に収まっていた。数学に自信のある生徒は上位に、そうでない者は下位に位置している。

 選出率は具体的な数値で示されており、底辺層で5%ほど、なかほどで1-2%。トップ層のみ1%未満との表示になっていた。

 多くの生徒が、選出されやすいといっても数%程度か、といくらか安堵した。


 とはいえ、死も覚悟しなければならない戦いに放り込まれる確率としては、そう低いとはいえない。

 数%であろうが、ステージは100近くもあるらしい。1回や2回、選出される可能性は大いに考えられる。しかもプレイヤーは1人だけとは限らない(・・・・・・・・・・)


 先の戦いでは征従たち3人が臨んだ。

 MMORPGの大規模なイベントに参加経験のある生徒は、レイド(おお)ボスの討伐戦で相当数のプレイヤーと協力したことがある。もしも全員参加のステージがあれば確率もなにもあったものではない。数学の成績で生き死にを左右されるなど冗談ではなかった。

 それまでほとんどの生徒が、微分積分どころか2次方程式さえ、生きていくうえで不要だと考えていた。どうせ勉強するならもっと役にたつことを教えてくれと。

 馬鹿げたゲームによって、認識は強引に覆された。


 成績の低い生徒はこの理不尽なルールに気を落としたが、救済措置はあった。

 課題をクリア、つまりモンスターを倒せばランキングは大幅に上昇する。底辺層から一足飛びにトップ層へランクインできる仕組みとなっていた。一応、そうそう何度も戦うはめにならない仕組みにはなっているらしい。

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