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犠牲者 (xxix)

 ドスッ。


 モンスターの胴体に1本の細長い棒が突きたった。

 いななきとも悲鳴ともつかない鳴き声を短くあげ、タウはくわえた獲物をうち捨てた。己の背に深々と2本目の矢を突き刺した相手をにらみつける。

 その眼光の先に、必死の形相で立ちつくす真砂鉉の姿があった。


 無我夢中で頭部を狙う余裕はなかった。普通の馬が相手ならそれでもじゅうぶん効果はあっただろう。心身へ重大なダメージを与えられたはずだ。しかし。

 タウは怒り狂い、矛先を真砂鉉に振り替える。動物とは比較にならない耐久力と走力をもって、モンスターは男子高校生に突撃した。

 真砂鉉はあわてて次の矢を取り出そうとするが距離が近すぎた。とても間にあわない。


「うおおおおおっ!!」


 ザンッ。


 ふたすじの斬撃が、怪物の背中から横っ腹へ叩き込まれた。

 断末魔が校庭を切り裂く。馬体が舞う。ざっ、と征従が着地し土ぼこりがあがる。それらが同時に近い速さでたて続けに起こった。

 タウの重々しい肉体は地につくことなく宙空で発光し、消失。

 勝敗は一瞬のうちに決した。


「ぜはっ……………はあ……はあ……」


 中腰でがくがくと震え、征従は浅く激しく呼吸した。

 頭上の教室から歓声が沸き起こったが耳に届いてはいなかった。緊張で、剣を握り立っているのがやっとだった。

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