プロローグ (v)
「――見てください。小児殺、暗剣殺、五黄殺、歳破、月破。旭原高校は七大凶方の実に5つが該当する。ここまで凶相の出ている場所を見たのは7年ぶりです」
「(その解釈では3つはまったく当てはまらないのでは?)」
「九星気学の長年の経験によるものです。一般のかたには奇妙に映るでしょう」
「(ほか2つも無理があるように思えるが?)」
「独自に蓄積したノウハウに基づく診断です。高校の周辺、全方位からマイナスの気が流れ込んでいる。こんな危険な立地を選んだ登幌市は、子供たちの安全を軽視していると言わざるをえない」
「(旭原高校は県立だが?)」
「どこが設立したかは問題ではありません。私が現場を霊視したところ、だいぶよくない霊がそうとう集まっていました。あの規模は7年ぶりに見ましたね。早急なお祓いが必要と役所にメールで意見していますが、回答はありません」
「(問い合わせは県に? それとも市役所?)」
「この地は狐・狸・犬・蛇・龍、あらゆる動物霊を呼び寄せている。きわめて危険です。行政からお祓いの要請があればすぐコンサルティングを――」
「(その行政機関とは県? 市?)」
「あー、すみません、そろそろ予約の入ってる時間なので……」
「(3時までは空いていると聞いたが?)」
「ごめんなさいね、急用が入ったものだから。はい、もしもし(ピー)です。ああー、どうもどうも、いつもお世話に――」