表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/184

ホームルーム (v)

 本物の、というところに力を込めて、彼は教卓へ前のめり気味に生徒を見渡した。

 スマホゲーでもやるんですかー、と西井(にしい)(ぎん)がやや小柄な体をそらせ、冗談めかして挙手する。いいねそれ、俺、『ハンティング・オブ・ザ・モンスターズ』やりてー、などと生徒たちが笑った。枡田はにこやかに「もっとおもしろくてスリルのあるゲームだよ」と言った。


「マス目のなかに数字を入れていって、どこから足しても同じになる、みたいなあれですか?」


 左木(さき)円月(えるな)が、いかにも高飛車でお嬢様然とした目を、つまらなそうに細める。


「なんだ、そういうのかよ」「うわー、くっそおもしろそー」「すげースリルあるわ、それ」「オラ、ワクワクしてきたぞ」「導関数がどうとかよりよっぽどましじゃん」

 悪乗りするほかの生徒たちをいなして、枡田は「左木さんが言ったのは魔方陣だね。それもけして悪くない知的遊戯ではある」とうなずき、しかし、両手を広げ否定する。「これはもっとわくわくするような最高のゲームだよ」


 普段の淡々と、無味乾燥に授業を進める枡田にしては妙に熱っぽい語り口だった。眠たげに話半分でいた生徒も、次第に関心を示しはじめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ