セロフィート
「 砂糖黍を刈るのは一苦労ですけど、獣族なら問題ないでしょう。
魔法陣が描かれたシートを平らな場所に敷きます。
魔法陣の中から必要な道具が出て来ます。
組み立て終えたら、適当な長さに切った砂糖黍を入れます。
60分程ハンドルを回し続ければ、砂糖になって出てきます。
砂糖を専用の樽の中へ入れて終わりです。
ハンドルを回すにも力が必要ですけど、獣族なら問題ないです。
獣人には刈り取った砂糖黍を適当な長さに切ってもらいます 」
マオ
「 ジュースの作り方は大体分かるよ。
搾ってから濾すんだよな? 」
セロフィート
「 そうですね。
搾り方や濾し方にもコツがありますけどね。
やり方さえ覚えてしまえば子供にも出来ます。
木の実,野草の使い方を覚えれば、料理の味付けが変わります。
今より美味しい料理が食べれる様になります。
薬草で作った薬は治療者に使わせます 」
マオ
「 治療者って?? 」
セロフィート
「 此処には医師 が居ません。
重度の病気を完治させる事は出来ませんけど、大怪我を負った時には、正しい適切な対処が出来ます。
医薬,医学に精通した者が居れば気休め的にも安心出来ると思いません? 」
マオ
「 …………そだな…。
あっ、森の中に牧場を作るんだよな?
何を飼育するんだ? 」
セロフィート
「 万能鶏,万能兎,野牛です 」
マオ
「 鶏と兎と野牛??
何で? 」
セロフィート
「 食用の鶏と卵用の鶏,食用の兎,乳用の野牛です。
食用の鶏は鶏冠が大きく、丸々太ってます。
卵用の鶏は鶏冠が小さく太ってません。
万能兎は、煮る,蒸す,焼く,炒める,揚げる,干す,燻製,漬ける…等、幅広く料理出来ます。
部位によって歯応え,柔らかさ,味も違います。
香辛料,調味料を使えば味の幅も広がります。
乳用野牛の牛乳は、加工せずに其のままでも飲めますし、チーズやバターを作る為にも使います。
伸び伸びと育てる為に、放し飼いする為の牧場です 」
マオ
「 牧場の完成が楽しみだな!
そう言えば、糸を使って機織りする──って此の資料には書いてあるけど、何から糸は作るんだ? 」
セロフィート
「 体内で糸を作る特殊な蜘蛛が吐く糸を使います 」
マオ
「 く…蜘蛛?? 」
セロフィート
「 そうです。
蜘蛛の糸は丈夫ですから巻いてる途中で断ち切れたりしません。
上手く巻いたら、色付けをして、機織をして生地を作ります。
傷み難く、破れ難く、燃え難く、水を弾き、丈夫です。
雨,風を凌げるので、テントに最適です。
衣服,敷物,布袋等も作れます 」
マオ
「 へぇ?
凄いんだ…蜘蛛の糸…… 」
セロフィート
「 蜘蛛のお腹を押せば糸を吐きますし、止めたい時はもう1度お腹を押せば糸を吐くのを止めます。
加工してから売るも良し、生地のまま売るも良しです 」
マオ
「 売る??
『 売る 』って何処に売るんだ? 」
セロフィート
「 唯の例えです。
本当に売る訳ではないです 」
マオ
「 そうだよな?
人間を襲えない様に隔離するんだもんな! 」
セロフィート
「 ──マオ、未だワッフル食べます? 」
マオ
「 あっ、食べたい!
──出来立てのワッフルは、何も付けなくても美味しいよな〜〜♪
ふわふわして食べ易いよ 」
セロフィート
「 そうでしょう?
未々ありますから、沢山食べてください 」
マオ
「 うん♪
………………そう言えば島長の獣族の姿が見えないけど、何処に居るんだ? 」
セロフィート
「 オテルガさんなら、見回りに行ってます。
21体目の〈 器人形 〉に案内と説明を任せてます。
当分は戻って来ません 」
マオ
「 そうなんだ?
セロは本当に古代魔法と〈 器人形 〉任せなんだな…。
こんなに沢山の〈 器人形 〉を動かせるなら、普段の戦闘にさ、戦闘用の〈 器人形 〉を出してオレのサポートさせてよ 」
セロフィート
「 はい?
何故です?
ワタシが居るのに必要あります? 」
マオ
「 毎回傍観してるだけだろ!! 」
セロフィート
「 『 傍観 』なんて心外です… 」