≪ 港町 ≫へ帰れないであろう彼等を思ったセロフィートの優しさだった。
14体目の〈 器人形 〉には、妊娠中の亜人種のサポート役を任命した。
既婚,独身の男性陣と独身の女性陣は忙しくなる為、妊娠中の亜人種に手が回らなくなり、手助けが出来なくなる事を考慮したセロフィートの気遣いである。
15体目の〈 器人形 〉には、子供の亜人種の面倒を見る役目を任命した。
主婦の亜人種が主婦業に専念が出来る様に、子供の亜人種を引き受けるのだ。
子供達の遊び相手をしたり、子供達と工作をしたり、歌詞を作り歌ったり、絵を書いたり、子供達に読み書きを教えたり、計算を教えたりするのだ。
16体目の〈 器人形 〉には、共同農機具庫の管理者を任命した。
子供達が農具を勝手に持ち出して遊んだり、無断で農機具庫の中に入り込み、遊ばない様にする為の見張役は必要だろうし、農機具の手入れをする必要がある為だ。
17体目の〈 器人形 〉には、共同食料庫の管理者を任命した。
蓄えた貴重な食料を勝手に持ち出したり、無駄に消費しない様に食料の保存状態や消費期限等をチェックする必要がある。
18体目の〈 器人形 〉には、怪我の手当て,応急処置をする治療者の役目を任命した。
〈 器人形 〉には病気を治癒させる事や医師の様に手術する事は出来ないが、患者が元から持つ自然治癒力や抵抗力を最大限迄高める事は出来る。
自然治癒力や抵抗力を最大限迄高める事で怪我の治りを早めたり、病気の進行を遅める事が出来るのだ。
19体目の〈 器人形 〉には、自然の木の枝と蔓等を使い籠や履き物の作り方を妊婦達に教える役目を任命した。
妊婦達が怪我をせず、楽に編める様に、予め魔法陣で柔らかくした木の枝や蔓を使わせる事にした。
完成品の籠や履き物は、長く使える様に柔軟性があり、壊れ難くい丈夫な仕上がりになる様にする。
完成品の一部は《 セロッタ・カンパニー 》で売り出す予定で、セロフィートは “ ガッポリ ” に利用する気満々だ。
此の≪ 無人島 ≫で作った天然苦汁,天然塩,天然真水,砂糖,天然果汁ジュース,天然果汁酒,新鮮卵,土器,織物等の一部も《 セロッタ・カンパニー 》で売り出し、 “ ガッポリ ” する予定である。
中々ちゃっかりしているセロフィートだ。
此の “ ガッポリ大作戦! ” はセロフィートが独断で計画している事であり、マオは一切知らない。
セロフィートが世界一の資産家に君臨し続け、手持ち金が減らず、増え続ける仕組みの一部だ。
20体目の〈 器人形 〉には、祠の管理者を任命した。
祠の中には《 セロッタ・カンパニー 》に繋がっている転送魔法陣がある。
転移魔法は生物と物体の両方を一瞬に移動させる事が可能だが、転送魔法は物体しか運ぶ事が出来ない。
故に、ジェリエンツ達も亜人種も転送魔法陣を使えない。
〈 器人形 〉は物体に入るが、転送魔法陣を発動させる役目である為、《 セロッタ・カンパニー 》へ品物を転送させる事しか出来ないのだった。
セロフィート
「 ──今は此ぐらいにしときましょう。
足りなければ増やせば良いですし 」
マオ
「 …………何か、凄い事になってるよな〜〜。
セロってばさ全部〈 器人形 〉任せなんだな… 」
セロフィート
「 此が楽して働く──と言う事です 」