──*──*──*── 浜辺
美味しくない朝食を亜人種から御馳走になったマオは朝からグロッキーになっていた。
セロフィートはマオとは違い不味い料理を食べても全く堪えていない。
朝食を済ませたセロフィートは早速、獣族,獣人を浜辺に集めた。
昨夜の飲み比べでオテルガから勝ち取った命令を獣族,獣人に発令する為だ。
セロフィートは15回以上オテルガに勝っている。
鯔の詰まり、セロフィートはオテルガに15回以上の命令が出来るのだ。
セロフィートは大勢いる獣族,獣人を12チームに分けた。
海水から、苦汁,塩,真水の作り方を覚えるチームリーダーには船長をしている獣族のボレニグを指名した。
森の一部を耕し、畑で野菜作りを覚えるチームリーダーには獣族のマグルツを指名した。
畑の一角で砂糖黍を栽培し、砂糖作りを覚えるチームリーダーには獣族のタナバユを指名した。
動物を放し飼いに出来る小さな牧場と飼育小屋を作り、家畜の飼育を覚えるチームリーダーには獣族のボルカダを指命した。
土器焼き用の竈を作り、土器作りを覚えるチームリーダーには獣人のヨムルドを指名した。
様々な果物から果汁酒の作り方を覚えるチームリーダーには獣人のマヤビロを指名した。
苦汁と塩の使い方を覚えるチームリーダーには獣人のメサイラを指名した。
様々な果物を使った美味しいジュースの作り方を覚えるチームリーダーには獣人のアミララを指名した。
様々な木の実,様々な野草の使い方を覚えるチームリーダーには獣人のハミリエを指名した。
様々な薬草を使った薬の作り方を覚えるチームリーダーには獣人のヤユコヨを指名した。
特殊な蜘蛛の糸を使い、生地を作り、色を染め、機織りをする工程を覚えるチームリーダーには獣人のラミアンを指名した。
織物を加工する方法を覚えるチームリーダーに獣人のクロエマを指名した。
取り敢えず12チームあるが、亜人種に教える事の出来るセロフィートは1人しか居ない。
幾らセロフィートでも1人で12チームを相手にして、異なる事を親切丁寧に教えるのは不可能だ。
然し、大抵の不可能ならば、可能にする事が出来てしまうのがセロフィートだ。
古代魔法を発動させ、予め用意していた20体程の〈 器人形 〉を出現させた。
今回使用する〈 器人形 〉は、非戦闘用の〈 器人形 〉である。
セフィの髪型をオカッパにした容姿の〈 器人形 〉だ。
首の後ろに魔法陣が付いており、〈 テフ 〉を原動力にしている。
〈 器人形 〉は飲食,排泄,睡眠の必要がなく、季節,天候,気温等にも一切左右される事なく、朝でも夜でもフル活動が出来る優れものだ。
服を脱がせると体の作りは、人型に似せた人形である事が分かる。
此の〈 器人形 〉の作りは、セフィとは異なるものの、人間顔負けなコミュニケーション能力を持ち、誰とでも直ぐに打ち解ける事が出来る様になっている。
老若男女問わずに、言葉使いが丁寧で、誰に対しても親しみ易い口調で会話をする。
喜怒哀楽の表情も豊かで、自然な為ついつい〈 器人形 〉である事を忘れてしまう程である。
チームリーダーのサポート役として、〈 器人形 〉を1チームに1体付け、豊富な情報から亜人種に必要な知識を教えるのだ。
本物と見分けの付かない獣耳と尻尾を生やした白銀のフェンリル風オカッパセフィの20体中12体をチームに付けた為、残りは8体になった。
13体目の〈 器人形 〉には亜人種にプレゼントしたジェリエンツ,アンドレム,イシュハルト,単髪赤毛の世話役を任命した。
亜人種の言葉が解らない彼等には通訳が必要だからだ。