今回も「 20歳未満の読者さんは、読まないでください 」の内容になっています。
──*──*──*── 広場
マオが1人で《 広場 》を出て《 小屋 》へ戻ってしまった後も、〈 亜人種 〉の宴は続いていた。
1人になったセロフィートは〈 亜人種 〉の〈 島長 〉である〈 獣族 〉を相手にして、美味しくないジュースが並々と注がれた器を両手で支えた状態で飲み比べをしていた。
飲み比べに負けた者は、勝った者の命令を何でも1つだけ聞く──と言う条件で始まった余興だった。
〈 獣族 〉の長は初めから負ける気等更々なく、自分の絶対的勝利を確信していた。
然し、飲み比べに勝ったのは勿の論、セロフィートの方だった。
突然の余興に対して快く応じ、大量に飲まなければならない飲みなれない不味いジュースを前にしても、セロフィートは顔色を変えず、笑顔で「 ハンデは要りません 」と宣言していた。
セロフィートの惚惚する飲みっぷりに周りに居る〈 亜人種 〉は釘付けになり、何度も生唾を飲み込みながら、セロフィートを見詰めていた。
一気に飲み終えた後も、顔色は変わらず、笑顔のままケロリとして落ち着いており、「 未だ行けます? 」と聞いて来る始末である。
勝つ自信満々だった〈 獣族 〉の〈 島長 〉は負けた事に物凄く落ち込んだ。
セロフィートは〈 獣族 〉の〈 島長 〉が満足する迄何回でも笑顔で飲み比べに応じてあげた。
然し、何度飲み比べに挑戦しても〈 獣族 〉の〈 島長 〉がセロフィートに勝つ事は1度も出来なかった。
約束は約束である為、〈 島長 〉は負けた回数分セロフィートの命令を聞く事にした。
セロフィートの1つ目の命令を聞いた〈 獣族 〉の〈 島長 〉と周りに居る〈 亜人種 〉は唖然とし、両目を瞬かせがら自分達の耳を疑ったが、セロフィートから「 教えてくれません? 」と困った様に聞き返されたものだから、〈 獣族 〉の〈 島長 〉はセロフィートの命令らしくない命令を聞く事にし、自分の名前が『 オテルガ 』である事をセロフィートにと教えた。
オテルガは初めて自分と飲み比べをして勝利し、勝ち続けたセロフィートを甚く気に入った。
『 男惚れした 』と言った方が良いかも知れない。
オテルガは思い切って、セロフィートを自分の寝床へ誘ってみた。
オテルガから夜の誘いを受けたセロフィートだが、セロフィートにはマオが居る為、「 間に合ってます 」と満開の笑顔でバッサリとオテルガの誘いを断った。
勇気を出して誘ってくれたオテルガと閨が出来ない代わりにと、セロフィートは〈 船長 〉の〈 獣族 〉に話していた2名を宴に招待する事にした。
其を聞いたオテルガと〈 亜人種 〉の目が一斉に爛々と輝いた。
尻尾をブンブンと激しく振り回している様子を見ると、喜んでくれているのが分かる。
盛りたい盛りなのだろうか??
既婚している女性の〈 亜人種 〉の殆どが妊娠中の様で、宴には参加していない。
嫁入り前の独身女性の〈 亜人種 〉は大切にされている様で、性欲の捌け口に同族を相手にする様な文化は彼等にはないのかも知れない。
セロフィートがオテルガから聞いた話によれば、〈 獣族 〉と〈 獣人 〉の同性でペアを作り、宴のお開き後は各々の寝床で朝迄ハッスルするらしい。
未々お子ちゃまなマオには聞かせられない大人のディープな話だ。
そんな訳で、珍しい人間と朝迄ハッスル出来るのは彼等にとっては新鮮な事なのかも知れない。
子宮も卵巣も持たない男同士ならば、相手を孕ませ、妊娠させる事もないし、お互いに気兼ねなく安心して楽しめるのだろう。
〈 亜人種 〉の体力と人間の体力には差があり過ぎる為、人間の方が早く体力が尽きてダウンしてしまうのは避けられない。
〈 獣族 〉〈 獣人 〉が人間を相手にするならば、上手く手加減をしてあげなければ、人間の方が身体を壊してしまい、直ぐに使い物にならなくなってしまうだろう。
取り扱いには十分に注意してもらうべきだ。
オテルガと〈 亜人種 〉が見守る中、立ち上がったセロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させ、右手に愛用の杖を出した。