──*──*──*── 小屋
《 小屋 》へ戻ったセロフィートとマオは、絨毯の上に広げた貝殻を種類別,色別に分ける作業をしていた。
セロフィートが種類別に分けた後にマオが色別に分けるのだ。
森の中で発見し、大量に取った細くて丈夫な蔓は紙袋の中に入っている。
森から《 港 》へ戻って来た時は、散歩に出た時よりも日は暮れて来ていたが、夕食の時間は未だの様だった。
そんな訳で、夕食に呼ばれる迄の空いた時間で、マオが拾った貝殻を使い、首飾りと腕飾りを作る事にしたのだ。
貝殻に穴を開けるのは天才的に器用なセロフィートが担当し、穴に細くて丈夫な蔓を通すのはマオが担当した。
セロフィートはアイスピックよりも先端が細く尖っている道具を使い、貝殻に器用に穴を開け続ける。
穴に蔓を通すだけの簡単な作業をしているのはマオなのだが、何故だか上手く穴へ蔓を通せないでいた。
貝殻に穴を開ける作業を終えたセロフィートは、マオを手伝う為に穴に蔓を通し始めた。
マオは決して不器用ではないのだが、細い穴に蔓を通すのは苦労している。
セロフィートはマオとは違い甚も簡単に細い穴に蔓を通していた。
マオ
「〜〜〜〜セロは何でも器用に出来て良いよなぁ…。
穴に蔓を通すのって難しいよ…。
オレも天才肌になりたい!!」
セロフィート
「何を言いますか。
上手に通せてます。
丁寧なのは良い事です」
マオ
「でもさ……オレより後に蔓を通してるセロの方が作業が早いじゃないか」
今、マオが作っているのは腕飾りだ。
四苦八苦しながら作っており、未だ1つも完成していない。
因みにセロフィートは、3つ目の首飾りを作っている最中だった。
セロフィートの手際が予想以上に良過ぎて、マオは少しだけ両頬を膨らませて拗ねていた。
セロフィート
「此の首飾りを作り終えたら、腕飾りを手伝います」
拗ねながら腕飾りの貝殻の穴に蔓を通しているマオを見て、セロフィートは微笑ましく思う。
不器用ではないマオが、四苦八苦しながら貝殻の穴に蔓を通している様子が可笑しくて堪らないのだ。
セロフィートは別にサドっ気がある訳でもなければ、サドですらなく、ただただ単に箱に頭を突っ込んで抜けれなくなり奮闘している愛猫の可愛らしい様子をニヤニヤしながらスマートフォンで撮影している飼い猫ラブな至って普通の善良な飼い主と同様だ。
マオが蔓を通す貝殻の穴だけ、態と蔓より小さい穴を開けた訳では決してない。
マオ
「う゛ぅ〜〜〜……。
──はぁっ、もうっ!!
何でオレの貝殻だけ、蔓が通り難いんだよ〜〜〜!!
蔓が穴より太いのかな??
……なぁ、セロぉ〜〜。
此の蔓の太さって、もう少し細く出来ないかな?」
セロフィート
「其以上蔓を細くすると切れ易くなります。
細くは出来ません。
時間はあります。
気持ちを落ち着けて、穴に通しましょう」
マオ
「うん……」
セロフィートが貝殻に開けた穴を態と小さくしている事を全然全く疑いもしないで、マオは懸命に穴へ蔓を通す為に1人で奮闘を続けるのだった。