✅ 酒場オムニア 3 / 交渉 3
セロフィート
「 はて?
何の事です?
ワタシは無関係ですけど? 」
怪しい目付きで『 セロなんだろ! 』とでも言いたげに見詰めて来るマオに対してセロフィートはニコリと微笑む。
セロフィート
「 400年も前ですよ。
ワタシは今年で21歳です。
明らかに他人の空似です 」
クラッドウォウノ
「 いやぁ、其にしては吟遊詩人様も負けじとお美しいですよ!!
生まれ変わりなんじゃないかと思わずにはいられませんな! 」
セロフィート
「 ふふふ。
御上手ですね、クラウノさん 」
マオ
「 ──セロ、荷物を置いたら何か食べに行こうよ 」
セロフィート
「 そうですね。
《 飲食街 》へ行きましょう。
クラウノさん、手伝うのは明日からでも良いです? 」
クラッドウォウノ
「 勿論ですよ。
今日はゆっくりしてください。
《 飲食街 》へ行くなら、 “ ハリンポルト ” と言う名前の店へ寄ってください。
今は私の息子夫婦が切り盛りしてるんです。
小さな飲食店ですけど、料理の腕も味も保証しますよ。
良ければ私の名刺を見せてください 」
クラッドウォウノは慣れているのか、専用の名刺入れを取り出すと、自分の名刺をセロフィートへ渡した。
名刺の裏には息子夫婦宛にだろうかメッセージが書かれている。
セロフィート
「 有り難う御座います。
クラウノさん。
飲食店を決めなくて済みます。
マオ、地図で “ ハリンポルト ” を探してください 」
マオ
「 いいよ。
じゃあ、地図貸して! 」
セロフィート
「 お願いします、マオ 」
セロフィートはポーチの中から丸めている地図を出すと、マオに手渡した。
マオは《 飲食街 》の所を見ながら飲食店の名前を探した。
マオ
「 う〜〜〜ん……あっ、あった!!
《 飲食街 》の真ん中辺りにあるよ。
左側だな 」
セロフィート
「 有り難う、マオ。
行きましょう 」
マオ
「 うん 」
クラッドウォウノ
「 部屋の鍵をお渡しします。
部屋の鍵はタダにさせていただきますね。
無くされたり、壊されたら、弁償して頂く事になります 」
セロフィート
「 分かりました。
気を付けます。
裏口の鍵も無くしたり、壊したりしたら弁償で良いです? 」
クラッドウォウノ
「 そうしていただけると此方も助かります… 」
セロフィート
「 構いません。
大事な鍵を貸していただくのです。
きちんと弁償はさせていただきます 」
クラッドウォウノ
「 有り難う御座います、吟遊詩人様 」
マオ
「 クラウノさん、 “ ハリンポルト ” に行って来るね! 」
セロフィート
「 行ってきます、クラウノさん 」
クラッドウォウノ
「 行ってらっしゃいませ、吟遊詩人様、マオ君 」
クラッドウォウノは、廊下にセロフィートとマオを残すと階段を下りて行った。
マオ
「 部屋に置いてく荷物もないし、此のまま行くだろ? 」
セロフィート
「 そうですね 」
セロフィートとマオは階段を下りる事にした。
──*──*──*── 1階
1階に下りたセロフィートとマオは、階段横の壁にある裏口のドアを開けると酒場の外