❗3.海 1 〜 いざ、大海原へ! 〜
──*──*──*── 海原
《 港 》にて〈 漁師 〉から買った船に乗り込み、ジェリエンツの完全手動による手漕ぎで大海原へ出た船は、ゆらゆらと揺れる海面に浮いていた。
ジェリエンツの体力が思いの外早く尽きてしまったからである。
ジェリエンツには船の手漕ぎは重労働だった様だ。
力尽きのが予想以上に早過ぎたからといって、マオもセロフィートもジェリエンツを責めたりははしなかった。
手漕ぎ船に乗った事がなく、漕いだ経験のないジェリエンツに漕がせる時点で結果は既に見えていたからである。
セロフィート
「ジェリさんは腰を振るのが好きそうですし、イケると思いましたけど……。
無理でしたね」
マオ
「漕ぐのに使うのは腕だろ?
腰が振れたって意味ないじゃんか。
ダンサーじゃないんだ。
オールで漕ぐんだぞ」
セロフィート
「マオ、オールではなく櫓です。
腰振るの好きですよね、ジェリさん」
ジェリエンツ
「ちょっ、何で腰振りの話になるんですか〜〜〜(////)」
セロフィート
「おや?
振るより振られる方が好きです?」
マオ
「腕力が必要なんだから、腰振りは関係無いと思うんだけど?
ジェリさんもそう思うよね?」
ジェリエンツ
「腰振りから離れましょうよ〜〜〜(////)」
セロフィート
「大事な事ですし。
ジェリさんは、ネコかタチかリバなのか」
ジェリエンツ
「──本当に何の話ですか?!(////)」
マオ
「オレは犬派だよ。
猫も可愛いけど、やっぱり犬の方が頼り甲斐あるもん。
オレ、大型犬の背中に乗ってみたいんだ〜〜。
ジェリさんは猫派?
犬派だと嬉しいんだけど…(////)」
ジェリエンツ
「( えっ……本当に犬と猫の話なのか??
ネコ,タチ,リバって聞こえたから、てっきり……アッチの話だとばっかり…(////)
何だよ〜〜、此方の勘違いかよ〜〜〜(////) )
──えぇと…セロフィート様は、どっち派なんですか?」
セロフィート
「はい?
ワタシはどちらでもないです。
動物を愛でる様な趣味はないです」
ジェリエンツ
「そ、そうなんですか……」
セロフィート
「ジェリさんはリバではないです?」
ジェリエンツ
「リバ……って言いますと…?」
マオ
「犬も猫もどっちも飼ってる人だよ。
犬猫以外の動物を飼ってる人も入るよ。
オレは旅してるから犬は飼えないんだけど……」
ジェリエンツ
「あ〜〜〜そう言う……。
なら、自分はリバですかね。
犬猫じゃなくて鳥を飼ってますから」
マオ
「えぇっ!?
ジェリさん、鳥を飼ってるの?
凄いね!!
鳥って高額だし、育て方も難しいって聞くよ」
ジェリエンツ
「買ってはないですよ。
譲り受けたんです。
世話は自分じゃなくて、兄が見てます。
ピイッチって名前なんですけど、鳴き声が可愛くて…(////)」
セロフィート
「確かにリバですね。
良かったです。
安心しました」
ジェリエンツ
「はい?
リバだと何か良いんですか?」
セロフィート
「とても♪」
マオ
「セロ~~~……幾ら〈 海賊 〉が〈 亜人種 〉だからって──」
ジェリエンツ
「はい??
一寸待ってください!
い、今…〈 亜人種 〉って言いました??」
マオ
「う、うん…言ったけど?
〈 亜人種 〉がどうかしたの?」
ジェリエンツ
「ど、どうかしたのぉ?!
『 どうかしたの? 』じゃないでしょう!!
だって〈 亜人種 〉ですよ!!
〈 亜人狩師 〉じゃないと倒せないんですよ!!」
マオ
「倒せるから退治の依頼を受けたんだよ。
〈 海賊 〉をどうにかしないと≪ 港町 ≫に行けないし」
ジェリエンツ
「だからって……。
2人で〈 亜人種 〉を相手に戦うなんて無謀ですよっ!!」
マオ
「其は…そうなんだけど……」
セロフィート
「ジェリさんの不安な気持ちは分かります。
人間の強さを1とすると〈 獣人 〉の力は凡そ3 〜 5です。
〈 獣族 〉となれば凡そ7 〜 10です。
到底人間が戦って敵う様な相手ではないです」
ジェリエンツ
「だったら何で──」
セロフィート
「ワタシが〈 超越マギタ 〉だからです。
〈 亜人種 〉は〈 魔法 〉を使えません。
マオは〈 剣士 〉ですから近距離攻撃が主です。
遠距離攻撃のワタシが後方から〈 魔法 〉でマオをサポートします。
マオとワタシの方が戦いに有利です」
ジェリエンツ
「………………だけど…マオ様1人で〈 亜人種 〉の中に入って行くなんて自殺行為…」
マオ
「大丈夫だよ、ジェリさん。
首と胴体を斬り離しちゃえば〈 亜人種 〉も動かなくなるし」
ジェリエンツ
「マ、マオ様…」
マオ
「…………オレだってさ、本当なら殺したくないよ…。
殺さないで済むなら、そっちの方が良いに決まってる。
だけど……仕方無いんだよ…。
〈 時空の亀裂 〉が存在し続ける限り、放っておけば〈 亜人種 〉は…〈 時空の亀裂 〉の悪影響を受けて今よりもっと凶暴化しちゃうんだ…。
倒せる内に倒しとかないと、大変な事になるんだから…」




