❗3.港 〜 ザ・交渉人 〜
──*──*──*── 港
予定時間より早く《 港 》へ到着したマオとセロフィートは、仕事をている〈 漁師 〉に声を掛けてみる事にした。
〈 海賊 〉からの被害を受けて1番とばっちりを食らっている〈 漁師 〉から生の声を聞く為だ。
マオ
「〜〜〜でもさ、今日は〈 漁師 〉の数が多くないか?」
セロフィート
「そうですね。
マオとワタシが〈 海賊 〉を退治する為に海へ出る事が〈 漁師 〉の耳に入ったのかも知れません」
マオ
「そうかな〜〜」
《 港 》へ来たセロフィートとマオに気付き、遠巻きに様子を見ている〈 漁師 〉達が居た。
漁師:A
「──おい、彼の2人組じゃないのか?」
漁師:B
「あぁ、きっとそうだ!
そうに違いないぞ!!」
漁師:C
「2人だけで〈 海賊 〉を退治するだぁ?!
無謀じゃないのか?
死にに行く様なもんだぞ!」
漁師:D
「其に未だ若いじゃないか!」
漁師:E
「いんや、あれでも相当な〈 冒険者 〉らしいぞ。
〈 魔物 〉や〈 亜人種 〉も相手に戦った事もあるらしい」
漁師:C
「そりゃ、マジもんな話か?!
あんなに若いのに〈 魔物 〉や〈 亜人種 〉の相手を……」
漁師:A
「人は見掛けに寄らないもんだな…」
漁師:D
「──おい、此方に来るぞ!」
白くて長い髪を靡かせながら細身で長身の美しい美女(?)と黒髪の〈 小徒 〉の少年が歩いて近付いて来る。
美しい美女だと思っていた〈 漁師 〉達は、セロフィートの声を聞いた途端にガックリと両肩を落とした。
明らかに「 何だ、男かよ… 」と落胆しているのが分かる。
〈 漁師 〉は正直なのだ。
セロフィートとマオは〈 海賊 〉を退治しに行く事を〈 漁師 〉達に話をすると、〈 漁師 〉達が知る限りの〈 海賊 〉の情報を詐欺師が降参してトホホする程の巧みな話術で聞き出した。
──*──*──*── 30分後
13時になるより前に、アンドレム,イシュハルトの使いの者が《 港 》に現れた。
既にセロフィートとマオが《 港 》来ている事を知った使いの者は、みるみる顔を青ざめさせた。
アンドレム,イシュハルトは、セロフィートと再び会う事を嫌がり、したっぱの部下に《 港 》へ行き、船を調達する様に指示を出したのだった。
使いの者
「──彼の…、〈 S・G 〉のセロフィート様とマオ様で宜しいでしょうか?」
使いの者はビクビクしながら、セロフィートとマオに声を掛けた。
マオ
「そうだけど……、誰??」
使いの者
「──は、はい!
自分はアンドレム様とイシュハルト様に代わりまして、船を手配させていただきますジェリエンツと申します!」
マオ
「セロ〜〜〜、アンドレムさん,イシュハルトさんの代わりの人が来たよ」
セロフィート
「おや、遅かったですね」
マオ
「オレ達が早く来過ぎただけだろ〜〜。
ジェリエンツさん、気にしないで。
其にセロは何もしないよ。
──だろ、セロ」
セロフィート
「ジェリエンツさんには何もしませんけど、厄介事を部下に押し付けたアンドレムさん,イシュハルトさんには何か素敵なプレゼントを用意しとくとしましょう」
マオ
「…………嫌な予感しかしないんですけど!」
セロフィート
「ジェリエンツさん、マオとワタシが乗る船は何処にあります?」
ジェリエンツ
「あ、いえ…船の調達は此からでして……すみません…」
マオ
「此からって……。
〈 漁師 〉から借りた方が早いんじゃ…」
セロフィート
「〈 漁師 〉さんから船を1隻買いましょう。
無事に返せる保証は出来ませんし」
マオ
「買うったって……売ってくれるのかよ…」
セロフィート
「交渉してみましょう」
そんな訳で、セロフィートは持っていた〈 魔鉱石 〉を〈 漁師 〉に見せると、船と交換してもらえないか交渉を始めた。
〈 魔鉱石 〉の価値を知らない〈 漁師 〉達に対してセロフィートは親切,丁寧に〈 魔鉱石 〉の〈 価値 〉について教えてあげた。
相談し合った〈 漁師 〉達は、1隻の船と〈 魔鉱石 〉を交換してくれる事になった。
セロフィート
「マオ、船が手に入りました。
行きましょう」
マオ
「う、うん。
〈 魔鉱石 〉と交換してくれたんだな。
──で、誰が船を漕ぐんだ?」
セロフィート
「ジェリエンツさんに決まってます」
ジェリエンツ
「え゛っ?!
自分ですか?!
でも…船を漕いだ経験は1度も……」
セロフィート
「マオとワタシは〈 海賊 〉を退治する為に体力を温存させなければいけません。
ジェリエンツさんは戦力外ですし」
ジェリエンツ
「………………此って拒否権は……」
マオ
「諦めた方が良いと思うよ…」
セロフィート
「ジェリエンツさん、《 海賊船 》が現れる場所迄、お願いします」
ジェリエンツ
「……………………お役に立たせていただきます…」
セロフィートのゴリ押しにより、ジェリエンツは何故か船を漕ぐ事になってしまった。




