❗3.応接室 4 〜 情報収集 1 〜
セロフィートの計画通りなのか、マオが『 おねだり 』をする事で、アンドレム,イシュハルトの『 死ぬ気の謝罪 』は回避される事になった。
結局の所、1番の『 とばっちり 』を食らったのはマオだった訳だ。
マオ様々ではあるが、アンドレム,イシュハルトもマオに対して感謝する事はなかった。
アンドレム,イシュハルトも心の余裕が無い状態であり、其所ではなかったからだ。
アンドレム,イシュハルトは正座を解かれ、セロフィート,マオと向かい合わせでソファーに座っている。
アンドレム,イシュハルトは先程の事が余程堪えているのだろう。
未だに顔色が悪そうだ。
目の前に居るセロフィートが恐いのかも知れない。
まぁ、あれだけの死が迫る脅し方をされたのだから致し方無いだろう。
セロフィートの背後からは、輝く後光が見えてしまえる程に慈悲深い女神様を思わせる笑顔のまま、ずっと顔色を変えず、穏やかに微笑んでいる。
マオは内心でヒヤヒヤ,ビクビクしていた。
セロフィート
「──さて、本題に入りましょうか?
アンドレムさん,イシュハルトさんは、マオとワタシに何用です?」
セロフィートが口を開け、声を出した瞬間、アンドレム,イシュハルトは背筋をピンッと伸ばし、姿勢をシャッンと正した。
まるで上官に絶対服従を誓う訓練中の兵士の様だ。
先程迄、セロフィートと一切話をしないで黙りだった男が、自分達が来た理由をマオとセロフィートに話始めた。
内容を簡単に纏めれば、≪ 港町 ≫と≪ 港町 ≫の往来を妨ぎ、漁の邪魔をしている “ 不届き千万な奴等 ” を退治してほしい──という内容だった。
〈 漁師 〉の間では彼等の事を “ 海賊 ” と呼んでいる──との事だ。
〈 海賊 〉と遭遇した屈強な〈 漁師 〉達は交戦し、抵抗したのだが、力の差が有り過ぎて〈 海賊 〉には敵わず、命からがら逃げ帰って来たらしい。
目撃証言を纏めると、どうやら〈 海賊 〉をしているのは人間ではなく、〈 亜人種 〉と呼ばれて恐れられている存在である事が判明した様だ。
獣耳が見えていた事から、〈 獣人 〉の類いの〈 亜人種 〉ではないか──という事らしい。
人の姿の〈 獣人 〉も居れば、二足歩行の〈 獣族 〉の姿も見られたそうだ。
〈 亜人種 〉が相手ならば、〈 冒険者 〉では歯が立たない。
≪ 村落 ≫ではない≪ 港町 ≫には、〈 亜人狩師 〉が所属している《 亜人狩師ギルド 》が無い為、〈 漁師 〉は〈 海賊 〉に襲われない近場の領海で漁をするしか出来ず、≪ 港町 ≫と≪ 港町 ≫を往来する船も出せないのが現状だ。
今の所、〈 海賊 〉は≪ 港町 ≫と≪ 港町 ≫には見向きもしていない様で、襲って来る様な気配もないのだが、其の安全も何時迄続くのか分からない。
今は良くても何時かは襲って来るかも知れない不安と恐れが消える事はない。
襲われた時の逃げ場は海しかなく、船を襲われたり、沈められてしまえば終わりである。
≪ 港町 ≫を〈 亜人種 〉に占領されてしまう訳にはいかないが、〈 冒険者 〉が何百人居ても、対抗出来る戦力にはならない為、どうにかしたいと思っていたらしい。
何処かの≪ 村落 ≫から〈 亜人狩師 〉を呼び寄せるにしても、地上でも〈 亜人種 〉が横行している為、多くの〈 亜人狩師 〉には来てもらえない。
〈 亜人狩師 〉の数は未々少ないのだ。
マオ
「──〈 亜人狩師 〉に来てもらうにしたって、≪ 港町 ≫から1番近い≪ 村落 ≫は〜〜〜、≪ 町 ≫の近くにある≪ 村落 ≫しかないよな?
なんて名前だったっけ??」
セロフィート
「マオ…。
片道だけで3ヵ月も経ってしまいます」
マオ
「え゛…そんなに掛かったっけ??」
セロフィート
「マオとワタシで〈 海賊 〉を退治した方が早いです。
アンドレムさん,イシュハルトさんもマオとワタシに退治してほしそうですし」
マオ
「じゃあ、受けるんだ?」
セロフィート
「受けない訳にはいかないでしょう?
{ 〈 転移魔法 〉を使って良いなら、〈 海賊 〉は無視して≪ 港町 ≫ へ行けますけど? }」
マオ
「{ 〈 転移魔法 〉は禁止してるだろ!
〈 亜人種 〉の〈 海賊 〉なんて放っておけないよ }」
気分が乗らない時には、懐かしい戦隊ヒーローのOP,EDを聞きながら書いています。
メタルヒーローシリーズのCDが欲しいです。
いつか、買いたい!!




