❗3.応接室 2 〜 謝罪は真心です 〜
《 応接室 》で30分間、待ち人を待っていたセロフィートとマオだったが、待ち人は一向に現れる事はなかった。
一旦《 応接室 》を出たセロフィートとマオは、〈 受付嬢 〉に事情を話したが、『 必ず来るから《 応接室 》で待っていてほしい!! 』的な事を言われ泣き付かれてしまった。
人間等は暇潰しに遊ぶ為の幾らでも替えの効く消耗品の玩具としか見ていないセロフィートにとって、女が泣こうが喚こうが知った事ではなく至ってどうでも良いのだが、お人好しの化身の様なマオはセロフィートとは違った。
泣いてしまった〈 受付嬢 〉に同情したマオは、長身のセロフィートに上目遣いで懸命に訴え掛け、何とかしてセロフィートを説得させる事に成功した。
セロフィートとマオは再び《 応接室 》のソファーに座っていた。
セロフィート
「…………マオ」
マオ
「…………御免…」
セロフィート
「何時来るかも分からない人を待ち続けてどうします。
情報収集をしなければいけないと言うのに…」
マオ
「御免ってば…」
マオはセロフィートに怒られていると思っているらしく、シュンと悄気ているが、セロフィートは全然マオに対して怒って等いなかった。
悄気ているマオを見ているのが面白い為、セロフィートは態と不機嫌なフリをしているのだ。
──*──*──*── 1時間後
ソファーに座っているセロフィートとマオの目の前には、40代程の男性が2人横に並び床に正座をしていた。
セロフィートを1時間30分以上待たせてしまった罰として、大の男が屈辱的な正座をさせられているのだ。
セロフィートの左隣に座っているマオはヒヤヒヤしっぱなしなのだが、穏やか過ぎる笑顔で微笑んでいるセロフィートが無性に怖くて声を掛けられないまま、目の前の気まず過ぎる状況を静かに黙って大人しく空気と化して見守る事しか出来なかった。
セロフィート
「──さて、どうしてくれましょう?
ワタシは待たせられるのが嫌いなのですけど?
知らない筈ないですね?」
男:A
「──も、勿論で御座います!
セロフィート様におかれましては、何があっても決して御待たせしない事は、厳しく言い聞かせておりますし、末端迄教育させて頂いております!」
セロフィート
「待たされましたけど?」
男:A
「そ、其は……誠に申し訳なく思っております!!」
セロフィート
「──はぁ?
本気で言ってます?
誠意の欠片もない、うわべだけの薄っぺらい謝罪しか出来ない貴方の言葉を信じろと言いますか?
冗談でしょう?」
男:A
「…………畏れながら……御言葉を返させていただきたい…。
……セロフィート様……我々は決して薄っぺらな謝罪等はしておりません!!
誠心誠意の謝罪をさせていただいております!」
セロフィート
「──はぁ?
ワタシを欺けるとでも思ってます?
感情は顔や態度だけに現れると思ってます?
ワタシは〈 超越師 〉です。
馬鹿にしないでくれます?」
男:A
「──っ…誠に、誠に申し訳なく……」
セロフィート
「本当に──、どうしてくれましょう?
マトモな謝罪どころか、心の底から詫びる事も出来ない貴方方が指導者をしている事自体が嘆かわしい限りです」
男:A
「………………返す言葉も御座いません…」
セロフィート
「微塵も思っていない言葉等要りません」
男:A
「………………何をさせていただければ、セロフィート様の怒りは鎮まり、御満足されるのですか?
どうか、教えていただきたい!!」
セロフィート
「ワタシが貴方方に求めているのは『 真心の謝罪 』──、純粋な心からの謝罪です。
解ります?
誠実な謝罪すらマトモに出来ない貴方方には一生懸けても難しいかも知れませんね」
男:A
「………………」
セロフィート
「『 真心の謝罪 』が出来なくても、『 死ぬ気の謝罪 』なら出来るでしょう?」
男:A
「…………『 死ぬ気の謝罪 』…で御座いますか?」
セロフィート
「そうです。
『 死ぬ気の謝罪 』が見事に出来れば、今回は許しても良いです」
男:A
「…………分かりました。
其でセロフィート様に御許しいただけるのでしたら『 死ぬ気の謝罪 』でも何でもさせていただきます!!」
セロフィート
「良い心掛けです。
2人で仲良く謝罪してください」
穏やかな笑顔と優しい声色で言葉を切ったセロフィートは、2人の男が正座をしている前に〈 魔法陣 〉を出現させた。
〈 魔法陣 〉の中央に現れたのは────。




