受け付けカウンターを通過する途中で、マオとセロフィートはクルセイルに声を掛けられた。
セロフィート
「 御早う御座います、クルスさん 」
マオ
「 御早う、クルスさん 」
クルセイル
「 何だ?
朝食はもう良いのかよ? 」
マオ
「 だってさ、待ってても料理が来ないんだもんな。
キャンセルして切り上げたんだ 」
クルセイル
「 ──んだよ。
また何かあったのかよ…。
兄貴の奴、何やってんだかな〜〜 」
マオ
「 兄貴??
クルスさん、お兄さんが居るの? 」
クルセイル
「 あぁ、居るよ。
兄貴が4人,弟が1人,妹が3人な。
妹は3つ子でな、お転婆でやんちゃ盛りの3歳児だよ。
弟がチビ達の子守をしてる 」
マオ
「 へぇ〜…9人兄弟妹なんだな〜〜 」
セロフィート
「 大家族ですね 」
クルセイル
「 まぁな…。
親父が留守にしてる間は、兄貴達が宿屋の切きり盛もりを任まかされてるんだけど……。
偶たまにあるんだわ。
意い見けんの食くい違ちがいで衝しょう突とつする事ことがさ…… 」
セロフィート
「 女お将かみさんは居いません? 」
クルセイル
「 母かあさんは入にゅう院いん中ちゅうだからな 」
マオ
「 えっ……。
病びょう気きなの? 」
クルセイル
「 違ちがう、違ちがう。
もう直すぐ、10人にん目めが産うまれるんだよ。
お盛さかん過すぎて、親おや父じには困こまるよ。
まぁ、他よ所その女おんなに孕はらませるのだけは勘かん弁べんだけどな 」
マオ
「 へ、へぇ…… 」
クルセイル
「 母かあさんはさ、今こ年としで40になるんだよ。
あんまり無ム理リさせないでほしいんだよな。
あぁ…そうだ、知しってるか?
≪ 港みなとピレト町まちレッシン ≫の外そとに遊ゆう男だん廓かくって言いう男おとこと男おとこが仲なか睦むつまじく堀ほり合あう店みせがあるの? 」
セロフィート
「 聞きいた事ことあります 」
マオ
「 何なに其それ?
オレ、知しらないけど… 」
クルセイル
「 2人り1組くみになってだな、穴あなを堀ほり合あうんだよ 」
マオ
「 穴あな?? 」
セロフィート
「 遊ゆう男だん廓かくの直すぐ近ちかくに山やまがあります 」
マオ
「 山やま? 」
セロフィート
「 そうです。
其その山やまは珍めずらしい鉱こう石せきが取とれる鉱こう山ざんです。
遊ゆう男だん廓かくは男だん性せい用ようの娯ご楽らく施し設せつですけど、鉱こう石せきの採さい掘くつ作さ業ぎょう専せん門もんの労ろう働どう者しゃ達たちの憩いこいの場ばとしても利り用ようされてます 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 採さい掘くつ作さ業ぎょうは重じゅう労ろう働どうです。
長ながく続つづけるには其それなりの息いき抜ぬきが必ひつ要ようとなります。
遊ゆう男だん廓かくには、温おん泉せん,医い療りょう,マッサージ,遊ゆう戯ぎ,宿しゅく泊はく,運うん動どう等など々などの様さま々ざまな施し設せつがあります 」
マオ
「 へぇ… 」
クルセイル
「 アンタ、詳くわしいな 」
セロフィート
「 親しん切せつな方かたに教おしえてもらいました。
採さい掘くつされた鉱こう石せきの一いち部ぶを装そう飾しょく品ひんに加か工こうして、≪ 港みなとピレト町まちレッシン ≫の経けい済ざいを支ささえてますね。
今いまは≪ 港みなとセィレン町まちトーム ≫との往おう来らいが出で来きない状じょう態たいですし、どうしても遊ゆう男だん廓かくに頼たよらなければならない厳きびしい状じょう態たいとなってます 」
マオ
「 へぇ……。
そうなんだ? 」
クルセイル
「 鉱こう石せきを加か工こうして作つくった装そう飾しょく品ひんは《 商しょう店てん街がい 》にある装そう飾しょく店てんで売うってるから見みに行いってみな 」
クルセイル
「 殆ほとんどが旅りょ行こう者しゃをターゲットにしたお土産みやげ的てきな物ものだけど、見みても損そんはしないぜ 」
マオ
「 行いってみたいかも… 」
セロフィート
「 昼ひる食げランチの後あとにでも行いってみましょう。
折せっ角かくですし、3人にんにお土産みやげとして何なにか買かいましょう。
きっと飛とび上あがる程ほど大おお喜よろこびしますよ 」
マオ
「 そうだよな。
お土産みやげなんて今いま迄まで買かった事ことなかったもんな…。
うん、3人にんに何なにか買かうよ 」
クルセイル
「 買かった商ひょう品ひんは店みせから発はっ送そうも出で来きるから安あん心しんしな 」
マオ
「 うん。
教おしえてくれて有あり難がとな、クルスさん 」
クルセイル
「 良いいって事ことさ。
親おや父じも遊ゆう男だん廓かくで有あり余あまる体たい力りょくを発はっ散さんして、採さい掘くつ作さ業ぎょうに貢こう献けんしてほしいもんだな… 」
セロフィート
「 ふふふ。
あまり張はり切きられると相あい手ての足あし腰こしが使つかい物ものにならなくなりそうですね 」
マオ
「 2人りで穴あな堀ほりするからか? 」
セロフィート
「 共きょう同どう作さ業ぎょうですし。
テクニックも大だい事じですけど、体たい力りょくの相あい性しょうも大だい事じです。
餅もちつき職しょく人にんの様ように阿あ吽うんの呼こ吸きゅうが必ひつ要ようです 」
マオ
「 へぇ…。
ただ、穴あな掘ほってれば良いいもんじゃないんだな… 」
クルセイル
「 そうだな。
鉱こう石せき採さい掘くつの体たい験けんも無む料りょうで出で来きるから興きょう味みがあれば行いってみな。
初しょ心しん者しゃには経けい験けん者しゃが付ついてくれるぞ 」
マオ
「 へぇ?
でもさ…採さい掘くつ出で来きた鉱こう石せきはどうなるんだ?
貰もらえるの? 」
クルセイル
「 心しん配ぱいしなくてもタダで貰もらえるよ。
希き望ぼうがあれば装そう飾しょく品ひんに加か工こうもしてもらえるよ。
加か工こう代だいは掛かかるけどな。
発はっ送そうもしてもらえるぞ 」
マオ
「 そうなんだ… 」
セロフィート
「 マオが採さい掘くつした鉱こう石せきを装そう飾しょく品ひんに加か工こうしてもらうのも有ありですね 」