✅ 酒場オムニア 1 / 交渉 1
──*──*──*── 酒場・オムニア
店主
「 ──いやぁ…そう言う事でしたら、是非ともお願いしたいですな!
何分、人手不足でして……。
あ…でも、宿賃は支払って頂かなくても構いませんよ?
ウチは酒場ですし… 」
セロフィート
「 そう言う訳にはいきません。
≪ 港町 ≫に滞在中は1部屋◎ルーム》御借りして御世話になる訳ですし 」
店主
「 ですが……御2人で10.000Qは多いかと… 」
マオ
「 そうなの??
何処の酒場でも『 1泊1人50.000Qは払わないと泊めない 』って言われたんだけど…… 」
店主
「 其は…比較的新しい酒場ではないですか? 」
マオ
「 そう言われてみれば…… 」
店主
「 其なら仕方無いかも知れませんね。
建て替えたのは良いですけど、借金が支払えなくて大変らしいですからね… 」
マオ
「 お客が少なくて儲けがないから? 」
店主
「 えぇ、まぁ…。
閑古鳥が鳴く前は何処の酒場も客入りが良くて賑わっていたんですよ。
勿論、何処の酒場も繁盛してましたからね、潤ってましたよ。
《 酒場街 》の建物は古いのが多いですから、賑わうシーズン前に酒場を建て替える話が出ましてね── 」
セロフィート
「 建て替えたものの、客足が向かず、十分な収入がない──と言う事です? 」
店主
「 えぇ、はい…。
シーズンになっても≪ 港町 ≫から船が入港して来なくなりましてね、旅人,旅行者が激減したんですよ……。
≪ 港町 ≫からの船は入港しますから、何とかなっている──と言いますか… 」
マオ
「 ≪ 港町 ≫から船が来ない?
……何で?? 」
店主
「 理由は私達にもさっぱりで……。
あぁ…でも、中には『 海賊の仕業なんじゃないか 』と言う声もあるんですよ 」
セロフィート
「 海賊…です? 」
店主
「 えぇ、そうなんですよ。
馬鹿馬鹿しいとは思うんですけどね… 」
マオ
「 『 海賊が原因だ 』って言う根拠はあるの? 」
店主
「 いやぁ、どうでしょうねぇ…。
私も詳しい理由迄は……。
何でも漁師の間では『 海賊の所為 』らしいですよ 」
マオ
「 漁師??
そう言えば…港で漁師の姿を見なかった様な……。
港で感じてた違和感って…漁師だったのかな?? 」
セロフィート
「 確かに港に居る筈の漁師さんの姿が見当たらないのは不自然ですね 」
店主
「 ウチの酒場には漁師は来ませんからねぇ… 」
マオ
「 でもさっきは── 」
店主
「 あぁ、其は──常連客からの又聞きですよ。
ウチの酒場は昔からの常連客のお蔭で営業が出来てるのでね。
常連客の中には漁師と知り合いの奴も居るんですよ。
元漁師も来てくれますよ 」
マオ
「 へぇ? 」
セロフィート
「 店主さん、ワタシは昼間、冒険者ギルドと冒険者ギルド連盟組合ピレトレッシン支部へ顔を出さなければいけません。
昼間、働けないワタシの分迄マオが働いてくれます。
マオは出来る子ですし、存分に使ってください 」
マオ
「 はぁ?
──ちょっ、セロさん?!
何、勝手な事言って── 」
セロフィート
「 マオは≪ 都 ≫で守護衛士をしてました。
腕が立つので用心棒にもなります。
何か揉め事が起きた時は、マオに振ってください。
マオが仲裁してくれます 」
マオ
「 おい!
また勝手に── 」
店主
「 おぉっ、≪ 都 ≫で守護衛士をされていたんですか?!
其は心強いですな!
酒場では何かと揉め事が起こり易いですからな。
助かります! 」
セロフィート
「 夜からはワタシもお手伝いします。
ワタシは吟遊詩人です。
無料で詩歌を歌わせていただきます 」
店主
「 おぉっ……吟遊詩人様でしたか!!
常連客も喜びますよ!
吟遊詩人様は≪ 港町 ≫に久しく来られてませんからな。
いやぁ、有り難いです!
5日間と言わず何日でも泊まってくださって構いませんよ 」
セロフィート
「 有り難う御座います。
御厚意に感謝します 」
店主
「 いえいえ、此方こそ宜しくお願いします!
部屋へ案内しますね。
御2人が泊まる部屋は3階になります 」
マオ
「 やっぱり、3階は泊まる用の部屋があるの? 」
店主
「 えぇ、祖父の代は1階の酒場だけだったんですがね、父の代で2階にも酒場を作ったんですよ。
私の代で3階に1晩泊まれる部屋を作りました 」