✔ 3.食堂 1 〜 忙しい朝食 1 〜
「 三日目 」の始まりです。
──*──*──*── 三日目
──*──*──*── 食堂
マオとセロフィートは向い合わせに座り、朝食をしていた。
昨夜の封筒は、食堂へ入る前に受け付けカウンターに居る従業員に渡し済みである。
マオ
「 ──やっぱさ、≪ 港町 ≫って言うだけあって、魚の鮮度は抜群だよな!
此の “ 貝の盛り合わせ丼 ” も美味しいしさ♪ 」
セロフィート
「 ふふふ。
3杯目ですもんね。
4杯目は頼みます? 」
マオ
「 うん、頼むよ!
次は、サザントの汁にしてもらうんだ。
こってり汁なのにマイルドだってさ。
気になるだろ? 」
セロフィート
「 そうですね 」
マオ
「 セロにも一口あげるからな! 」
セロフィート
「 有り難う、マオ 」
マオ
「 当然だろ!
セロとオレは夫婦なんだからさ(////)」
セロフィート
「 マオ…(////)」
何て言ってはいるが、要はマオがセロフィートと間接キスをしたいだけなのだ。
セロフィートに “ あ〜ん ” をすれば、セロフィートが口に入れたスプーンをマオが使えるからである。
セロフィートはそんなマオの邪な下心を知ってか知らずか、大人しく “ あ〜ん ” をされてあげているのだった。
7皿目の魚介サラダを食べ終えたセロフィートがウェイターを呼び、マオの4杯目となる “ サザントの汁の貝の盛り合わせ丼 ” を注文し、自分の分に “ タタラホのムニエル ” を3種類注文した。
ソースが違う為、3皿で運ばれて来る事になる。
両頬を膨らませて、モグモグと幸せそうに丼を食べているマオを微笑まし気に見詰めるセロフィートは実に楽しそうだ。
何時もならば、さっさと睡眠魔法で朝迄ぐっすりと超熟睡させてしまうのだが、昨夜は珍しく、マオが望んでいた『 いいこと 』をたっぷりしてあげたセロフィートだ。
何時もはセロフィートと『 いいこと 』した事を全く覚えていないマオも、今回はセロフィートとした『 いいこと 』を忘れてしまわずに覚えていた事もあり、朝から御機嫌なのだ。
『 いいこと 』と言っても、セロフィートにとっての『 いいこと 』とマオのしたがっている『 いいこと 』は天と地程に違う。
マオのしたがる『 いいこと 』は、マオの気分によって変わるのだが、セロフィートにとっての『 いいこと 』に比べるとメダカの稚魚並に他愛なく可愛いものだ。
昨夜、マオがセロフィートに求めた『 いいこと 』はマッサージだった。
健全と言われれば、間違いなく健全なスキンシップではある。
何せマオは、未々大人になりきれない “ お子ちゃま ” だからだ。
セロフィートは其で構わないと思っている。
何故かと言えば、そっちの方が明らかにマオの反応が面白いし、見ているだけでも楽しいし、からかい甲斐があるからだ。
3杯目の “ 貝の盛り合わせ丼 ” を食べ終えたマオは、4杯目の “ 貝の盛り合わせ丼 ” が来るのが待ち遠しいのかソワソワしている。
セロフィート
「 ──マオ、可愛いです(////)」
マオ
「 な、何言うんだよ(////)
良いだろ、別に!(////)」
セロフィート
「 其にしても遅いですね。
注文してから20分も経ってます。
どうしたのでしょう? 」
マオ
「 どうって……。
セロが3品も頼んだからだろ〜〜 」
セロフィート
「 何を言います。
ワタシは簡単な料理しか注文してません 」
マオ
「 ムニエルって焼くんだから時間が掛かってるんじゃないのか〜? 」
セロフィート
「 其ならマオの “ 貝の盛り合わせ丼 ” だけでも来る筈でしょう? 」
マオ
「 あ…そっか……。
…………厨房で何かあったのかな? 」
セロフィート
「 彼のウェイトレスさんに聞いてみましょう。
──すみません、ウェイトレスさん 」
セロフィートに呼ばれたウェイトレスは、直ぐにセロフィートの元へ来てくれはしたが、困った様な表情をしていた。
セロフィート
「 厨房で何かありました? 」
ウェイトレス
「 ──え…あ……いぇ、……其の…… 」
マオ
「 何かあったんだ?
注文した料理が全然来ないんだもんな〜〜 」
ウェイトレス
「 ──もっ申し訳御座いません!!
厨房は只今立て込んでまして…… 」
マオ
「 立て込んでる??
食材の魚が無くなったとか?? 」
ウェイトレス
「 い、いえ…。
其の様な事ではなく…… 」
セロフィート
「 此以上待っていても料理が来ないなら、 “ タタラホのムニエル ” 3品と “ 貝の盛り合わせ丼 ” はキャンセルします。
出来ます? 」
ウェイトレス
「 あ、はい……いぇ、確認致しますのでお待ちください…。
──8番テーブルの御注文は…………はい、大丈夫です。
未キャンセル可能です 」
マオ
「 はぁ?
『 未キャンセル可能 』って何?
未作ってないって事なの?
此方は注文してから30分も待ってるのに? 」
ウェイトレス
「 も、申し訳── 」
セロフィート
「 マオ、お止めなさい。
ウェイトレスさんを困らせてはいけません。
ウェイトレスさん、注文のキャンセルお願いします 」
ウェイトレス
「 は、はい!
かしこまりました。
直ぐにさせて頂きます! 」
不機嫌なマオを前にして、ウェイトレスはタジタジしながらも、セロフィートから受けた注文をキャンセルにした。




