❗2.宿泊室 4 〜 手紙を書こう 〜
──*──*──*── 宿泊室
《 食堂 》で夕食を終えたセロフィートとマオは、何処にも寄らず《 宿泊室 》に戻っていた。
マオは机に向かい、毎度お馴染みの3名へ手紙を書いていた。
昨日、無事に≪ 港町 ≫へ到着した事、≪ 港町 ≫へ行く便の船が出港出来ない状態である事を書いた。
滞在期間は5日間を予定している事、明日から《 冒険者ギルド 》へ行き、依頼を探す事、近場にしか漁に出られず困っている〈 漁師 〉達にも事情を詳しく聞く予定である事も書いた。
昨日の事には一切触れず、そこそこ観光を楽しんだ程度の事を書いた。
到着日の夕食の為に行った兎肉料理専門の《 ハリンポルト 》とタルト専門の《 ウリィンポス 》の事も書いた。
話しを聞いただけで、未だ行っていない《 屋台公園 》の事もだ。
《 屋台公園 》に関しては、明日の昼食に行く予定である事、今から楽しみで仕方無い気持ちを書き綴った。
マオ
「──う〜んと……後は何を書いたら良いかなぁ??
セロはどう思う?」
セロフィート
「窓から海が見える事を書いてませんね」
マオ
「あ、本当だ!
大事な事を書き忘れてた!」
マオはセロフィートに言われた事も書き加えた。
序でに宿泊する事になった《 宿屋 》の名前が、英雄の名前が付けられており、息子の名前も英雄の名前と同じ事も書き加えた。
但し、『 クルセイル 』とは書かなかった。
マオ
「う〜〜ん……こんなもんなかなぁ??
セロ〜〜どうかな?
今日の事は上手く誤魔化せてるかな?」
セロフィート
「本当に書かないつもりです?」
マオ
「………………やっぱり書かないと駄目かな?」
セロフィート
「マーフィは腕利きの〈 情報屋 〉です。
誤魔化しは通用しないと思いますけど?」
マオ
「そうなんだけど〜〜〜」
セロフィート
「書きたくなければ無理に書かなくて良いです。
どうせワタシが書きますし」
マオ
「そだな……。
セロに任せた方が良いよな。
オレ…あんまり覚えてないし…。
だったらさ、2日目の『 観光楽しみました 』は書き直した方が良いかな?」
セロフィート
「其のままで良いです。
真犯人が逮捕されてから書きますし。
船の中で書く事になるでしょうし、手紙を出すのは≪ 港町 ≫になりますし」
マオ
「そっか!
じゃあ、此のままでいっか!
封筒に入れたら、明日出すよ」
セロフィート
「終わったら、字の練習してください」
マオ
「今日は無しでいいじゃんか。
船の中で散々練習したんだしさ!」
セロフィート
「マオ、怠けてはいけません。
昨日出来なかった分もしてください」
マオ
「うげぇ〜〜〜〜。
セロの鬼ぃ〜〜〜!!」
セロフィート
「誰が鬼です。
鬼も空想の産物です」
マオ
「≪ エルゼシア大陸 ≫には存在しないんだろ?
分かってるよ…」
セロフィート
「解ってるなら宜しい。
封筒に入れました?」
マオ
「うん、入れたよ」
セロフィート
「ワタシが預かります。
貸してください」
マオ
「セロが出してくれるのか?」
セロフィート
「おや?
ワタシが出して良いです?
マオが出したいなら、明日渡しますよ」
マオ
「うん。
考えとく… 」
マオは手紙を入れた封筒をセロフィートに渡した。
船の中でみっちりと礼儀作法の彼是や字の練習等を飽きる程に散々やらされ、ウンザリしていた為に本当はやりたくないのだが、セロフィートの言う事に逆らえきれないマオは、嫌々ながらも字の練習をする事にした。
──*──*──*── 2時間後
21時頃から始めた字の練習は、23時頃に漸く終わる事が出来た。
マオ
「…………やっと…終わったぁ〜〜〜〜!!」
セロフィート
「お疲れ様です、マオ。
今日も最後迄頑張れましたね。
偉いです」
嫌々ではあるものの最後迄やり遂げたマオに労いの言葉を掛けたセロフィートは、マオを優しく抱きしめると抱擁をした。
マオ
「〜〜〜〜セロ(////)」
セロフィート
「入浴を済ませたら明日に備えて休みましょう」
マオ
「うん…。
──寝る前に『 いいこと 』してくれるんだよな??」
セロフィート
「勿論です。
マオへの御褒美ですし」
マオ
「うん(////)
──なぁ、セロぉ。
一緒に温泉入ろうよ!
いいだろ〜〜〜?」
セロフィート
「はいはい。
マオが望むなら」
マオ
「やった!(////)
じゃあ《 寝室 》に繋げるな」
セロフィート
「お願いします」
マオはドアノブを掴むと《 創造主の館 》の《 寝室 》を思い浮かべながらドアノブを回し、ドアを開けた。




