セロフィートは嫌々でもルームシューズを揃えたマオの頭を優しく撫でる。
マオ
「〜〜〜〜(////)
そんなの良いからさ、早く本の続きを聞かせてよ!」
セロフィート
「はいはい。
せっかちさんですね」
〈 魔法陣 〉の中へ手を入れ、昨日読んでいた本を取り出す。
膝の上に本を置き、栞を挟んでいる頁を開く。
マオ
「──其で?
竜の子供は、どうやって人間になったんだ?」
セロフィート
「〈 創世の魔法使い 〉に頼み込んで人間にしてもらいました」
マオ
「〈 創世の魔法使い 〉…??」
セロフィート
「竜の子供は自分の鱗を対価として支払い、〈 創世の魔法使い 〉から人間の姿を貰いました」
マオ
「人間の姿を貰う──って、どういう事だ??
もう、竜の姿には戻れないのか?」
セロフィート
「戻れます。
ファンタジーですし」
マオ
「あ、そうなんだ……」
セロフィート
「人間の姿を手に入れた事に依って、竜の子供は人語を理解出来る様になりました。
勿論、読み,書き,計算も出来ます」
マオ
「ふ〜ん……。
旅には困らないよな?
其で…どうしたんだ?」
セロフィート
「〈 創世の魔法使い 〉の〈 転移魔法 〉で≪ 街 ≫に送ってもらった竜の子供は、自分の鱗を売り、手に入れたお金で装備を整え、〈 冒険者 〉になりました」
マオ
「じゃあ、愈々冒険に出るんだな?」
セロフィート
「其の前に仲間を探します。
竜と言っても子供です。
1人で冒険するには厳しい世界です」
マオ
「仲間かぁ…。
出来るの?」
セロフィート
「仲間探しは、山あり谷ありでした。
散々な目に遭い、人間嫌いになる寸前迄追い詰められます」
マオ
「………………主人公…なんだよな??」
セロフィート
「そうですね。
何やかんやありましたけど、結局は〈 創世の魔法使い 〉に助けられます。
暇を持て余していた〈 創世の魔法使い 〉と共に旅に出る事になりました」
マオ
「そ…そうなんだ…。
一緒に旅をしてくれる仲間が出来て良かったよな?」
セロフィート
「そうですね。
様々な困難,問題,事件が起きる度に、〈 創世の魔法使い 〉と協力し、解決させました。
鬼畜勇者の刺客も〈 創世の魔法使い 〉のサポートがあり、撃退も出来、旅は順調でした」
マオ
「〈 創世の魔法使い 〉様々だな。
竜は活躍してるのか?」
セロフィート
「〈 創世の魔法使い 〉はあくまでサポート役です。
作中で活躍するのは竜です」
マオ
「そうなんだ…。
話を飛ばすけど、竜は鬼畜勇者から〈 竜巫女 〉を助け出せたのか?」
セロフィート
「〈 竜巫女 〉は手遅れでした」
マオ
「はぁ??
手遅れ──って…何でだ?」
セロフィート
「転々と拠点を変える鬼畜勇者の元へ辿り着くのに5年掛かりました。
其の間に〈 竜巫女 〉は鬼畜勇者の子を出産し、其の後は儀式に必要な道具として使われました」
マオ
「儀式?
必要な道具??」
セロフィート
「3つ子を産んだ〈 竜巫女 〉は、胴体をバラバラに切断されました。
バラバラに切断された体の部位に各々役割があります。
〈 召喚魔法 〉を発動させる為の道具に使われました」
マオ
「…………マジかよ…」
セロフィート
「〈 竜巫女 〉が出産した3つ子は、男子,女子,両性でした」
マオ
「両性……って??」
セロフィート
「男と女の性を持ち産まれた子供ですね。
3つ子は鬼畜勇者の手で育てられた所為で、鬼畜勇者並みの鬼畜に育っていました。
マオ
「助ける為に〈 冒険者 〉になって、旅に出てさ、苦労の末に鬼畜勇者を見付けたのに──、〈 竜巫女 〉が殺されていた……ってさ、救い…ないじゃんか。
竜と〈 創世の魔法使い 〉は、どうしたんだよ?」
セロフィート
「竜は〈 創世の魔法使い 〉と共に鬼畜勇者を倒しました。
残された3つ子は、竜と〈 創世の魔法使い 〉が育てる事になりました」
マオ
「…………結局さ…鬼畜勇者はさ、〈 竜巫女 〉を使って何を召喚したんだ?」