──*──*──*── 宿屋街
セロフィートとマオは、エイラクトミスタの案内で《 交番 》が手配してくれた《 宿屋 》へ向かっていた。
御世話になった《 交番 》を後にする時には、手の空いている〈 警察官 〉の総出に見送られる事になった。
事件の早期解決を願うセロフィートからの捜査協力として、大量の〈 魔鉱石 〉をセロフィートが《 交番 》へ寄附した──という事になったらしく、其の感謝の気持ちを込めての見送りだった様だ。
セロフィートは〈 警察官 〉達に『 〈 魔鉱石 〉を悪用すると〈 大陸神エルゼシア 〉から、相応の報いを受ける事になる 』事を教え、『 決して〈 魔鉱石 〉を悪用しない様に!! 』と念押しをし、キツく言い聞かせた。
マオも頭を下げて、真剣に『 悪用だけはしない様に 』と何度もお願いをした。
〈 警察官 〉達は『 〈 大陸神エルゼシア様 〉〈 信仰神エルゼシア様 〉に誓って、〈 魔鉱石 〉の悪用は決してしない!! 』と誓ってくれはした。
然し、言葉通り真摯に受け止めてくれたのかは、セロフィートとマオには分からない。
『 〈 大陸神エルゼシア様 〉〈 信仰神エルゼシア様 〉に誓って、〈 魔鉱石 〉の悪用は決してしない!! 』と〈 警察官 〉達は、〈 久遠実成 〉の作りし人形であるセロフィート・シンミンの前で誓ってしまった。
誓ってしまった以上、誓いを破る事は決して許されず、破った者には、死──という厳しい極刑が待ち受けている。
“ 約束 ” ならば、命迄は取られる事はなかったが、 “ 誓った ” 以上は致し方無いのである。
常に面白い事が起きる事を期待しているのがセロフィートである。
世界には安易に “ 誓い ” を立ててはいけない存在が実在する。
其の存在は、人々が神と崇めている〈 久遠実成 〉である。
〈 久遠実成 〉に対して立てた誓いは何よりも重く、常に “ お試し ” が掛かり、止まれる意志の強さを確かめられる。
“ お試し ” に引っ掛かり、誓いを破ってしまった場合は、厳しく罰せられてしまう。
人間には知られていない事である。
目に見えず、実在するかも怪しく、確かめる手段もない不思議な存在に “ 誓う ” という事の重さも厳しさも知り様がない。
セロフィートは〈 警察官 〉達に『 悪用しない様に 』とは伝えはしたが、真実は教えなかった。
〈 警察官 〉達に “ 約束 ” ではなく、 “ 誓い ” をさせたセロフィートには明らかに悪意があった訳だ。
〈 警察官 〉の中から、誓いを破り、報いを受ける者が何れだけ現れるのか──。
其は、また別のお話で★
そんな訳で、〈 警察官 〉達に見送られながら《 交番 》を去ったのである。
マオ
「……本当に大丈夫なのかなぁ…」
セロフィート
「マオ、〈 警察官 〉の皆さんを信じましょう。
皆さん、〈 大陸神しんエルゼシア 〉に誓ちかってくれましたし。
ですよね、エイミスさん」
エイラクトミスタ
「そうよ、マオ君くん。
皆みんな警察官は此この≪ 港町ピレトレッシン ≫の治ち安あんを守まもる “ 正せい義ぎの味み方かた ” なんだもの。
安あん心しんしてくれていいわ」
マオ
「うん…」
エイラクトミスタ
「( ──はぅん(////)
憂うれいてるマオきゅんも可か愛かいぃん(////)
あ〜〜〜ん、ぎゅ〜〜〜ってしたい〜〜〜ん(////) )
──セロフィートさん,マオ君くん、着つきました。
此方こちらが私達交こう番ばんが手て配はいさせて頂いただいた《 宿やど屋や 》になります!」
マオ
「──此こ処こが…。
立りっ派ぱな《 宿やど屋や 》だね、エイミスさん。
《 宿やど屋や 》なのに名な前まえが強つよそうだよ」
マオは看かん板ばんに書かかれている《 宿やど屋や 》の名な前まえを見みて驚おどろいた。
エイラクトミスタ
「《 宿やど屋やクルセイル亭てい 》の『 クルセイル 』は、英えい雄ゆうの名な前まえなのよ」
マオ
「英えい雄ゆう??」
エイラクトミスタ
「そうなの!
≪ 港町ピレトレッシン ≫には、英えい雄ゆう伝でん説せつが数かず多おおく残のこっているの。
機き会かいがあれば《 図と書しょ館かん 》へ行いってみて。
面おも白しろい本ほんを沢たく山さん読よめるから♪」
セロフィート
「是ぜ非ひ、行いってみます」
マオ
「セロ、本ほん読よむの好すきだもんな」
エイラクトミスタ
「特とくに英えい雄ゆうクルセイル・セカインドが主しゅ役やくの英えい雄ゆう伝でんが多おおいのよ」
マオ
「へぇ〜。
英えい雄ゆうの名な前まえを《 宿やど屋や 》の名な前まえにしちゃうなんて、よっぽど英えい雄ゆうクルセイルが好すきなんだね」
エイラクトミスタ
「そうよ。
一寸ちょっとした有ゆう名めい人じんなのよ」