グレイシュクリスナ
「後に奥様となられるマイールエレン嬢と出逢われて恋に落ちたとか。
〈 精霊騎士団 〉を退団して《 ハリンポルト 》に住み込みで働きだしたそうだよ。
マイールエレン嬢と結婚されてから数年後に《 ハリンポルト 》の〈 料理長 〉になられたんだよ。
〈 料理長 〉を息子に継がせてからは、義父の《 酒場 》を継いで〈 店主 〉として働いていたんだよ」
マオ
「…………そうだったんだ…。
〈 精霊騎士団 〉って退団とか出来るんだ…」
グレイシュクリスナ
「クラウノさんの話は此ぐらいにしよう。
兎に角、マオ君の事を激しく気にしておられたからね。
落ち着いてからで良いから顔を見せに行ってくれないかな。
当分《 酒場 》は営業が出来ない為、今は《 ハリンポルト 》に居るからね」
マオ
「うん。
有り難う、グレンさん。
近い内に会いに行くよ」
グレイシュクリスナ
「そうしてくれると此方としても助かるよ。
此でマオ君の事情聴取は終わりだよ。
長い時間此方の都つ合ごうに付つき合あわせてしまって済すまなかったね」
マオ
「ううん。
オレも役やくに立たてて良よかったです。
真しん犯はん人にん、捕つかまえてくださいね」
グレイシュクリスナ
「必かならず逮たい捕ほしてみせるよ。
セロフィートさん、沢たく山さんの〈 魔ま鉱こう石せき 〉有あり難がとう御ご座ざいます」
セロフィート
「ワタシも早はやく真しん犯はん人にんを捕つかまえてほしいですし」
グレイシュクリスナ
「私わたしは此これで失しつ礼れいします。
エイラクトミスタを呼よんで来きますので、其そのままお待まちください。
此方こちら交こう番ばんで手て配はいさせて頂いただいた《 宿やど屋や 》にはエイラクトミスタが案あん内ないします」
セロフィート
「分わかりました。
有あり難がとう御ご座ざいます、グレンさん」
グレイシュクリスナ
「──では…」
セロフィートとマオへ会え釈しゃくをしたグレイシュクリスナは、ドアを開あけて《 取とり調しらべ室しつ 》を出でて行いった。
マオ
「──はぁ〜〜〜っ……。
緊きん張ちょうしちゃったな〜〜。
セロ程ほどじゃなくても、美び男だん子しの前まえって緊きん張ちょうしちゃうよな……。
ふぅ……」
セロフィート
「ふふふ(////)
カチコチでしたね♪」
マオ
「面おも白しろがるなよ…!
たくっ…(////)
そう言いえば、セロの事じ情じょう聴ちょう取しゅはしなかったよな」
セロフィート
「ワタシの事じ情じょう聴ちょう取しゅは昨さく日じつに済すんでます。
クラウノさんの次つぎでした」
マオ
「そう…なんだ……」
セロフィート
「どうしました?」
マオ
「うん……。
まさか此こ処こ交こう番ばんで〈 精せい霊れい騎き士し団だん 〉について聞きく事ことになるなんて思おもわなくてさ……」
セロフィート
「クラウノさんは元もとですし、現げん役えきからは何なん十じゅう年ねんも経たってます」
マオ
「其それは…そうだけど……。
グレンさんが『 負ふ傷しょうした 』──って言いってたろ。
もしかして──とか思おもってさ…。
ほら、年ねん数すう的てきにもさ…」
セロフィート
「マオ、忘わすれなさい。
あれは彼かれ等ら当時の精霊騎士団が悪わるいです。
彼かれ等ら当時の精霊騎士団に大たい義ぎはなかった。
負ふ傷しょう者しゃが大たい量りょうに出でたのも彼かれ等ら当時の精霊騎士団の責せき任にんです。
マオとワタシには非ひはないです。
死し者しゃが出でなかっただけマシでしょう?
感かん謝しゃこそされど、咎とがめられる謂いわれはないです」
マオ
「う、うん…。
だけど、さ……≪ 街まちベリチェスト ≫の事ことだってあるしさ……」
セロフィート
「マオ…。
君きみには何なんの非ひもないです。
何い時つ迄まで気きにするつもりです?」
マオ
「だってさ……」
セロフィート
「( 此これにも記き憶おくの改かい竄ざんが必ひつ要ようの様ようですね。
今こん後ごの事こともありますし、〈 精せい霊れい騎き士し団だん 〉を “ 悪わる者もの ” として上うわ書がききしてしまいましょう )
──マオ、エイミスさんが来くる迄まで紅こう茶ちゃでも飲のみましょう?」
マオ
「うん…」
セロフィート
「マオ、どうぞ」
セロフィートから紅こう茶ちゃの入はいったティーカップを渡わたされたをマオは、淹いれ立たての紅こう茶ちゃを飲のんで、ざわつく気き持もちを落おち着つけた。