❗2.取調室 15 〜 事情聴取 1 〜
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「──失礼します。
マオ・ユーグナルさんの事情聴取をさせて頂く〈 捜査員 〉のグレイシュクリスナ・アテンダルです」
《 取調室 》に入って来たのは、長身で燃える様な赤毛を持つ美しい成年だった。
グレイシュクリスナ
「私の事は『 グレイ 』と呼んでください」
マオ
「…………宜しくお願いします…。
( ──セロの人間場馴れした美貌と魅力には劣るけど……、美形率高過ぎるだろっ!!
セロよりも2.3cmぐらい背も高い…… )」
グレイシュクリスナ
「そんなに緊張しなくていいよ。
簡単な事情聴取をするだけだからね」
マオ
「…………は、はい……」
セロフィート
「マオ、ワタシも居ますし、大丈夫です」
セロフィートは腕を伸ばし、珍しく緊張して身構えてしまっているマオの左腰に手を当てた。
マオ
「……セロぉ…(////)」
今にも泣き出してしまいそうな顔で、セロフィートを見上げる。
セロフィートは笑顔で「 心配要りません 」と語っている。
セロフィート,マオと向き合う形でソファーに腰を下ろして座ったグレイシュクリスナは、持っている封筒から資料らしい物を出した。
グレイシュクリスナ
「──先ずは身元の確認をさせてもらうよ。
マオ君は≪ 都 ≫の《 第一区 》にある《 一般住宅街 》でマーフィ・ユーグナルさんと暮らしていた──と資料に書かれているけど間違いないかな?」
マオ
「…………ないです。
合ってます」
グレイシュクリスナ
「良かった。
──《 第四区 》にある《 守護衛所 》へ通い、〈 守護衛士 〉として働いていた。
此はどうかな?」
マオ
「……合ってます」
グレイシュクリスナ
「良かった。
セロフィート・シンミンさんから依頼を直接受けて、セロフィートさんを護衛する為、旅に同行している。
セロフィートさんの依頼は個人で受けており、《 守護衛所 》は通していない──間違いないかな?」
マオ
「……はい。
──あっ、でも…《 守護衛所 》には、オレの籍は残ってない筈です。
セロは≪ エルゼシア大陸 ≫全土を旅するから、何時≪ 都 ≫に戻れるか分からないし……。
《 守護衛所 》の籍を抜けて、セロ専属の〈 守護衛士 〉に登録し直したから……」
グレイシュクリスナ
「大丈夫だよ。
其の事も資料に書かれているよ。
≪ 都 ≫を出る前に《 第一区 》にある《 役所 》で登録を済ませた事になっているね」
マオ
「……良かった…」
グレイシュクリスナ
「現在は雇い主のセロフィートさんと旅を続けていて、≪ 港町 ≫に立ち寄った──という事で間違いないないかな?」
マオ
「…はい……」
グレイシュクリスナ
「有り難う、マオ君。
身元の確認は以上だよ。
次は≪ 港町 ≫の港に到着してからのセロフィートさんとマオ君の行動についての確認をさせてもらうよ。
覚えている事を話してくれるかな。
《 港 》に着いてから、マオ君はどうしたのかな?」
──*──*──*── 1時間後
グレイシュクリスナ
「…………成る程ね。
次に目を覚ましたら《 交番 》の天井だった──か。
有り難う、マオ君。
君の証言のお蔭で空白の部分が分かったよ」
マオ
「……オレ視点の事ばっかりだったけど、あれで本当に良いの?」
グレイシュクリスナ
「そうだよ。
──実はね、《 酒場 》を襲った犯人は既に捕らえているんだ。
犯人に遭遇して、目撃して生きている証人は、《 酒場 》の〈 店主 〉クラッドウォウノ・オムニアとマオ君しか居なくてね。
第1の目撃者であるクラウノさんの証言を元に資料を作り、第2の目撃者であるマオ君から証言を聞きながら、資料と照らし合わせて確認していたんだ」
マオ
「クラウノさんも事情聴取したんだね……」
グレイシュクリスナ
「クラウノさんは《 交番 》に飛び込んで来た時に保護したよ。
なかり興奮していたから《 酒場 》に行かせる訳にはいかなかったからね」
マオ
「そうなんだ…」
グレイシュクリスナ
「マオ君の事をとても心配していたよ。
『 部屋で寝ているだろうから、助けに戻らないと!! 』って暴れていたからね。
宥めるのに苦労したんだ…。
全く…流石は元〈 精霊騎士団 〉なだけあるよ。
老いても油断は出来ないね…」
マオ
「…え??
クラウノさんって〈 精霊騎士団 〉なの??
《 ハリンポルト 》で〈 料理長 〉してたんじゃないの?」
グレイシュクリスナ
「そうだよ。
任務中に負傷をされてね、療養を兼ねて実家のある≪ 港街 ≫への帰省途中に《 港町 》に立ち寄られたそうだよ」




