❗2.取調室 10 〜 魔鉱石の作り方 1 〜
セロフィートの『 〈 魔法陣 〉の手巾でガッポリ大作戦( 仮 ) 』の話が一段落した頃、《 取調室 》にエイラクトミスタが戻って来た。
エイラクトミスタ
「──御待たせしました。
セロフィートさんが間接的に捜査に協力してくださる事を話したら、皆が石拾いに協力してくれたんです。
こんなに沢山集まりました」
エイラクトミスタは箱一杯に入った石ころをセロフィートとマオに見せた。
マオ
「す…凄い量の石ころだね…。
──セロ、こんなに大丈夫なのか?」
セロフィート
「問題ないです。
どの様に石ころが〈 魔鉱石 〉に精製されるのか試してみましょう。
──マオ、手巾の上に石ころを幾つか置いてください」
マオ
「うん…」
セロフィートに言われたマオは、石ころが入っている箱の中へ両手を入れると、石ころをすくい取る。
両掌の上に載っている石ころを手巾に刺繍された〈 魔法陣 〉の上に載せた。
マオ
「セロ、此で良いのか?
石ころの量、多くないか?」
セロフィート
「有り難う、マオ。
大丈夫です。
〈 魔法陣 〉を発動させますね」
そう言いながらマオに微笑んだセロフィートは、右手の人差し指,中指,薬指を合わせると〈 魔法陣 〉の上に触れる様にソッ──と載せる。
セロフィートの指が触れた部分から〈 魔法陣 〉が光だす。
光が上へ向かって伸び、石ころを包む。
光が消えると、手巾の上に載っていた石ころは、セロフィートの言う通り〈 魔鉱石 〉へ変わっていた。
エイラクトミスタ
「──凄い…です…。
此が──、今のが〈 魔法 〉なんですか?!」
セロフィート
「そうです。
ワタシにしか出来ない〈 魔法 〉です。
先程迄石ころだったモノが〈 魔鉱石 〉に変わりました」
マオ
「( 本当に変えちゃったよ!
サービスし過ぎじゃないのかよ?
然も、どの〈 魔鉱石 〉もキラキラしてるし! )
──何でかな〜?
キラキラしてるよな〜〜。
宝石みたいじゃん?
間違えちゃいそうだよな?」
セロフィート
「精製させた時に起きる副作用です。
此はワタシにも、どうにも出来ません」
エイラクトミスタ
「い、いえ…。
此は此で良いと思いますよ?
部屋に置いておくだけでインテリアにもなりますし。
こんなに沢山の〈 魔鉱石 〉は見た事がありません!!」
セロフィート
「喜んでもらえて何よりです。
残りの石ころも〈 魔鉱石 〉に精製してしまいましょう」
エイラクトミスタ
「お願いします!」
マオが両手ですくった石ころを手巾の上に載せ、セロフィートが〈 魔法陣 〉を発動させる一連の作業を数回繰り返し、箱の中に入っていた全ての石ころは〈 魔鉱石 〉に変わった。
マオ
「…………改めて見ると凄い量だよな……。
こんなに沢山の〈 魔鉱石 〉は、オレも見た事ないよ。
此1つ、幾らで売れるんだ?」
セロフィート
「どうでしょうね。
安くても5.000.000Qはするでしょうか」
マオ
「ご…5.000.000Q?!
此1つで5.000.000Q……」
セロフィート
「〈 魔鉱石 〉の原石は稀少価値が高いらしいですから、もっと高値で売れるかも知れません」
マオ
「億万長者だな……。
あは…あははは…あはは…」
セロフィート
「マオ、笑顔が引き吊ってます」
マオ
「仕方無いだろ!」
セロフィート
「こんなの幾らでも出せますし。
好い加減慣れてください」
マオ
「慣れないよ!」
エイラクトミスタ
「{ …………幾らでも…出せる…… }」
マオにも聞き取れない程のエイラクトミスタの小さな呟きをセロフィートは聞き逃がさなかった。
セロフィートは微かに口角を上げたが、其に対してマオもエイラクトミスタも気付いていない。
セロフィート
「──エイミスさん、今から此の〈 魔鉱石 〉に〈 魅了魔法 〉を探知する為の〈 魔法 〉を附与します。
此のままの状態で使用する事が出来ます。
〈 魔法具 〉〈 魔導具 〉の核として使用する事も出来ますし、〈 魔法具 〉〈 魔導具 〉に加工して使用する事も出来ます。
使用方法は〈 警察官 〉の皆さんで決めてください」
エイラクトミスタ
「…………は、はい。
分かりました…」
セロフィート
「≪ 港町 ≫の《 交番 》に勤務されている〈 警察官 〉全員に1個ずつ行き渡るのが理想的ですけど…、足ります?」
エイラクトミスタ
「え…と……。
ど、どうなんでしょう……??」
セロフィート
「足りないのなら、石ころを集めて持って来てください。
〈 魔鉱石 〉に精製します」




