──*──*──*── 酒場・オムニア
──*──*──*── 店内
酒場の店内へ難なく入れたマオは、ドアを閉めると内側から鍵を掛けた。
ドア側を向いたマオの右側には2階,3階へ上がる階段がある。
然し、マオは直ぐに階段を上がらなかった。
今日から3階の部屋に5泊させてくれる店主のクラッドウォウノへスイーツ店で買ったお土産を渡すからだ。
当のクラッドウォウノは、カウンターでグラスを布巾で拭いていた。
背筋が伸びており、姿勢正しく、老紳士の様な佇まいでグラスを拭いているクラッドウォウノは、何処ぞにあるお洒落で高級な酒場のマスターの様に見えた。
若かりし頃のクラッドウォウノは、相当なハンサムさんで、女性達に憧れを抱かれたイケ男で、モテモテだったのではなかろうか。
マオは帰かえって来きた事ことを伝つたえる為ために、クラッドウォウノへ声こえを掛かける事ことにした。
マオ
「 クラウノさん、ただいま。
遅おそくなっちゃった… 」
クラッドウォウノ
「 ──マオ君くん、お帰かえりなさい。
ハリンポルトはどうだったかな? 」
マオ
「 うん!
兎うさぎラビット肉にくミートの専せん門もん店てんだったんだね。
何どの兎うさぎラビット肉にくミートも美お味いしかったよ!
食たべ過すぎちゃったよ(////)」
クラッドウォウノ
「 そうかい?
気きに入いってもらえたなら嬉うれしいねぇ 」
マオ
「 今日きょうは4よ月つきだから、皆みんな頭あたまに兎うさぎ耳みみを付つけてたよ 」
クラッドウォウノ
「 そうだったねぇ。
教おしえるのを忘わすれていたよ。
驚おどろいただろう? 」
マオ
「 うん…。
吃びっ驚くりしたよ。
入はいる店みせを間ま違ちがえたのかと思おもっちゃったんだ! 」
クラッドウォウノ
「 初はじめてさんには、そうだろうねぇ…。
ははは… 」
マオ
「 お嫁よめさんのティリアさんに会あったよ。
雰ふん囲い気きが可か愛わいくて美び人じんさんだった!
息むす子こさんは料りょう理り長ちょうをしてるんだね。
クラウノさんもハリンポルトで働はたらいてた時ときは料りょう理り長ちょうをしてたの? 」
クラッドウォウノ
「 していたよ。
今いまでもハリンポルトで兎うさぎラビットを捌さばくのと下した拵ごしらえは手てつ伝だっているよ 」
マオ
「 そうなの?!
兎うさぎラビットを捌さばけるなんて凄すごいね!
じゃあ、兎うさぎラビット肉にくミート料りょう理りも作つくれるの? 」
クラッドウォウノ
「 勿もち論ろんだよ。
隠いん居きょして料りょう理り長ちょうは譲ゆずったけど、腕うでは未まだ々まだ現げん役えきだよ。
ウチの酒さか場ばオムニアではね、肴さかなに兎うさぎラビット肉にくミートを出だすよ」
マオ
「 肴さかな??
お酒さけに兎うさぎラビット肉にくミートが合あうの? 」
クラッドウォウノ
「 工く夫ふう次し第だいでね、酒さけと相あい性しょうの良いい肴さかなになるんだよ 」
マオ
「 へぇ〜〜〜!
良いいなぁ。
オレも食たべてみたい!! 」
クラッドウォウノ
「 良いいよ。
部へ屋やに荷に物もつを置おいて来きたら、マオ君くんにも作つくってあげるよ 」
マオ
「 やったぁ!
じゃあ、置おいて来くる!
──あっ、そうだ。
此これ、クラウノさんへのお土産みやげなんだ。
ハリンポルトに行いく途と中ちゅうに見み付つけたスイーツ店てんウィリンポスで帰かえりに買かって来きたんだよ 」
クラッドウォウノ
「 ほう……タルトかい? 」
マオ
「 うん!
買かえたのは良いいんだけど、ティリアさんにクラウノさんがタルトが好すきか聞きけなくて…。
どんなタルトが好すきなのか分わからなかったから、迷まよっちゃって…選えらべなくて…。
オレの代かわりにセロが選えらんでくれたんだ 」
クラッドウォウノ
「 吟ぎん遊ゆう詩し人じん様さまが私わたしの為ためにタルトを……(////)
有あり難がとう、マオ君くん。
タルトは美お味いしく頂いただくよ 」
マオ
「 うん! 」
クラッドウォウノ
「 今こん度どスイーツ店てんウィリンポスへ行いく事ことがあれば、私わたしの名めい刺しを見みせると良いいよ 」
マオ
「 スイーツ店てんウィリンポスにもクラウノさんの子こ供どもさんが働はたらいてるの? 」
クラッドウォウノ
「 ハハハハハ、違ちがうよ。
私わたしの妹いもうとが店てん長ちょうをしているんだよ。
私わたしより13歳さい若わかいからねぇ、未まだ々まだ現げん役えきさ 」
マオ
「 そうなんだ?
有あり難がとう!
次つぎは名めい刺しを見みせてみるよ! 」
お土産みやげ用ようのタルトの箱はこをカウンターの上うえに置おいたマオは、紙かみ袋ぶくろを部へ屋やに持もって行いく為ためにカウンターから離はなれた。
階かい段だんを上あがり、3階かいへ向むかった。