──*──*──*── 魚市通り
マオは心を踊らせながら、セロフィートと共に港を出た。
≪ 港町 ≫が何れだけ活気に満ち溢れて賑やかな≪ 港町 ≫なのかと、マオはワクワクしながら期待していた。
≪ 港町 ≫も≪ 港町 ≫も≪ 港街 ≫に負けじと活気の溢れた賑やかな≪ 港町 ≫だったからだ。
然しかし、≪ 港みなとピレト町まちレッシン ≫は活かっ気きがなく、賑にぎやかでもなかった。
マオは魚うお市いち通どおりの様よう子すを見みて、ガックリと力ちからなく両りょう肩かたを落おとすと落らく胆たんした。
マオ
「 ………………何なんか寂さびれてる感かんじがして残ざん念ねんな雰ふん囲い気きだよな…。
何なんでこんなに寂さみしい感かんじなんだろ…… 」
セロフィート
「 さぁ?
こうなる原げん因いんと問もん題だいを抱かかえているのは確たしかですね 」
マオ
「 折せっ角かく楽たのしみにしてたのになぁ…… 」
セロフィート
「 そう言いえば…、船せん客きゃくの中なかに≪ 港みなとセィレン町まちトーム ≫へ行いく予よ定ていだったのを断だん念ねんされた方かたが居いましたね 」
マオ
「 そうだっけ??
居いたかな〜〜? 」
セロフィート
「 マオの忘わすれん坊ぼうさん。
詳くわしい事じ情じょうは分わかりませんけど、並なみ々なみならぬ理り由ゆうがあった様ようです 」
マオ
「 聞きかなかったのかよ? 」
セロフィート
「 聞きけると思おもいます?
詩しい歌かを歌うたっている最さい中ちゅうでしたし 」
マオ
「 ……………其それだと無ム理リだよな… 」
セロフィート
「 其その方かた自じ身しんの話はなしではなかった様ようですし 」
マオ
「 又また聞ぎきみたいなもんかな??
…………何ど処この鮮せん魚ぎょ店てんも新しん鮮せんな魚さかなフィッシュや貝かいシェルは売うってるけど、似にた様ようなのしか売うってないみたいだな。
≪ 港みなとピレト町まちレッシン ≫ってさ、珍めずらしい珍ちん味みな魚さかなフィッシュが多おおいんじゃなかったのか? 」
セロフィート
「 そうですね。
営えい業ぎょうしてる魚さかな屋やも少すくないですし… 」
マオ
「 歩あるいてても楽たのしくない!
此これじゃあ、食しょく欲よくも失うせちゃうよ… 」
セロフィート
「 後あと3時じ間かん程ほどで日ひも暮くれます。
先さきに宿やど屋やを決きめてチェクインしましょう 」
マオ
「 そうだな。
ええと……港みなとは出でたから、今いま歩あるいてる魚うお市いち通どおりを出でるんだよな。
其それから《 商しょう店てん街がい 》《 飲いん食しょく街がい 》《 住じゅう宅たく街がい 》の分わかれ道みちを抜ぬけたら《 屋や台たい広ひろ場ば 》も抜ぬけて──、《 酒さか場ば街がい 》《 宿じゅう屋たく街がい 》《 ギルド街がい 》の分わかれ道みちに着つくんだよな?
港みなとから大だい分ぶ離はなれちゃうな…… 」
セロフィート
「 そうですね。
船ふねの中なかで地ち図ずマップを貰もらえて良よかったです 」
マオ
「 其それはそうだけどさ……。
彼奴あいつ等らはセロに対たいして下した心ごころが見みえ見みえだったよな 」
セロフィート
「 ふふふ。
何なにもされなかった訳わけですし、良よかったでしょう? 」
マオ
「 オレが30.000Qクインを渡わたしからだろ!
セロはもっと警けい戒かいしろよ!
誰だれにでも笑え顔がおスマイルを振ふり撒まくから、相あい手てが其その気きになっちゃうんだぞ!
オレ以い外がいに笑え顔がおスマイルを振ふり撒まくの禁きん止し!! 」
セロフィート
「 はいはい。
気きを付つけるとします 」
マオ
「 本ほん当とに気きを付つけろよ! 」
全まったく気きを付つける気きが無なさそうなセロフィートを睨にらみながら、マオは両りょう肩かたを落おとした。
マオ
「 ………………もう…。
さっさと《 宿やど屋や街がい 》に行いこう! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオ、走はしらないでください。
転ころびますよ 」
マオ
「 転ころばないよ! 」
216歳さいになっているというのに未いまだに子こ供どもチャイルド扱あつかいしてくるセロフィートに対たいして、マオは膨ふくれっ面つらで睨にらむ。
面おも白しろい顔かおをしてくれるマオを見みて、セロフィートは声こえを殺ころしてクツクツと笑わらうのだった。
マオとセロフィートは《 宿やど屋や街がい 》《 酒さか場ば街がい 》《 ギルド街がい 》の分わかれ道みちを目め指ざして、寂さみしさが漂ただよう魚うお市いち通どおりを歩あるくのだった。