✔ 1.飲食街 2 〜 ナンパ 2 〜
セロフィート
「 詩歌を聞かせる事も、楽器で曲を奏でる事も、夜伽の相手をする事も──、何でも出来ます。
君達よりは経験も豊富ですし、様々な悦ばせ方も心得てます。
ワタシを連れて行けば、君達の昇格とやらは確実となります。
アメとムチは使いよう。
君達の待遇が今より良くなる様に、ワタシが直々に兄貴さん達を調教しても構いません 」
男:D
「 ──あ…兄貴達を調教するだと?!
馬鹿言うな!
彼の兄貴達にそんなの出来る訳ねぇだろが!
逆にアンタが調教されちまうぜ! 」
セロフィート
「 おや?
試しもしないで否定しますか。
後悔はさせません 」
男:E
「 なぁ、一寸良いかな? 」
男:B
「 何だよ、グアルマ 」
男E:グアルマ
「 アンタは何で其処迄して、此のガキを守ろうとするんだ?
家族だからか? 」
セロフィート
「 ワタシには歳の離れた友人が居ます。
友人には同年代の親友が2人居ます。
親友の1人には歳の離れた弟が居ます。
良くある大人の事情でワタシが預かる事になりました。
ワタシはマオの保護者として、マオを危険から守るのはワタシの義務です 」
男E:グアルマ
「 …………成る程ね…。
保護者なのを良い事に、何も知らない未成年に夜な夜な不埒な事してる訳かよ? 」
セロフィート
「 不埒な事はしてません。
家族特有のスキンシップをしているだけ。
スキンシップの仕方は家族に依って異なるでしょう 」
男E:グアルマ
「 ………………そうかよ… 」
男A:カルイム
「 まぁ、良いさ。
兎に角、今夜は誰かを連れて戻らないといけないんだ。
美人なアンタを連れて帰れば、兄貴達の機嫌も良くなるかもな。
吟遊詩人か……。
遊男廓は初めてじゃないんだな? 」
セロフィート
「 はて?
初めて聞きます 」
男A:カルイム
「 マジかよ…。
知らないのかよ!
はぁ……説明してやるよ。
遊男廓ってのはな、女禁制の男だけの華園だ。
男が男と一夜の夢──、夜伽を楽しむ場所だ。
男と女が夢の様な一時を求めて楽しむ花屋敷と違って、遊男廓ってのは理解され難いし、差別的な扱いを受けてる。
其の所為で≪ 港町 ≫から離れた場所にある。
だがな、転移魔法を使えば一瞬さ。
遊男廓は、俺達の様に身寄りを亡くした天涯孤独の孤児達を集めて育ててる組織さ。
成人した俺達は、彼此に行って孤児を見付けては遊男廓に連れ帰ってる。
今回みたいに兄貴達の使いで夜伽の相手を探しに来たりもするけどな 」
セロフィート
「 其でワタシのマオに目を付けたと…。
君達に見る目があるのは褒めましょう 」
男:B
「 おぃおぃ、マジで俺達と遊男廓に行くつもりなのか? 」
セロフィート
「 行きましょう。
但し、マオは解放して帰らせてください 」
男A:カルイム
「 ………………分かった。
良いだろう。
グアルマ、ガキを離してやれ 」
男E:グアルマ
「 本当に良いのかよ? 」
男A:カルイム
「 あぁ、構わないさ 」
男E:グアルマ
「 分かった。
──ほらよ、お前は自由だよ、ガキ。
連れに感謝しな 」
マオ
「 話が全く見えないんだけど??
──セロ!
{ コイツ等、何かヤバいよ!
早くクラウノさんの酒場に戻ろう! }」
セロフィート
「 マオ、先に戻ってください。
ワタシは寄る場所が出来ました 」
マオ
「 はぁ?!
寄る場所……って?
セロ、何言ってんだよ??
もう21時過ぎちゃったぞ! 」
セロフィート
「 クラウノさんへ渡すタルトです。
ワタシの代わりに持ち帰ってください。
ワタシのタルトを1人で食べないでください 」
マオ
「 いや、食べないけどさ…。
ってか、そうじゃなくて! 」
セロフィート
「{ 大丈夫です。
朝迄には戻ります。
朝食は一緒にタルトを食べしょう }」
マオ
「 セロ…… 」
心底心配そうな表情でセロフィートを見上げるマオに、セロフィートは持っていたタルト入りの箱をマオに手渡した。
マオはタルトの箱を受け取ると、不安そうな顔でセロフィートを見詰める。
セロフィートは優しく微笑むと、不安そうな瞳で見上げているマオの頭を撫でた。
セロフィート
「 そんな顔しないでください。
ワタシは大丈夫です。
1人で戻れますね? 」
マオ
「 戻れるよ!(////)
子供扱いすんな! 」
セロフィート
「 ふふふ♪ 」
マオ
「 朝になっても帰って来てなかったら、許さないんだからな!! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオ、行ってきます 」
マオ
「 う、うん…… 」