✔ 1.飲食街 1 〜 ナンパ 1 〜
──*──*──*── 飲食街
セロフィートが数秒遅れてスイーツ店を出ると、5人の男達が誰かを囲んで何かを話し合っている。
男達はセロフィートよりも頭1個分低い。
格好や雰囲気からチャラい感じが漂っている。
年齢から見ても若く、高徒 〜 大徒の間だろうか。
5人の男達に囲まれているのが誰なのか、姿が見えなくてもセロフィートには判っていた。
セロフィートは5人の男達に近付くと声を掛けた。
セロフィート
「 何をしてます?
通行の邪魔です。
道を開けなさい 」
男:A
「 はぁぁぁん?!
誰に言ってんだぁ? 」
セロフィート
「 君達にです。
他に誰が居ますか? 」
男:B
「 あん?
見掛けねぇ面だな?
俺達が誰だか知らねぇのか? 」
セロフィート
「 知る訳ないでしょう。
塞いでいる道を開けなさい 」
男:C
「 ──あ゛っ?
あ゛〜〜〜〜っ!!
港から出て来た奴じゃんかーーーー!!
『 どえらい美人の旅人だな〜〜 』って見てたんだよっ!!
フォフゥゥゥ!! 」
男:B
「 旅人かよ?
旅人なら知らなくても仕方ねぇか… 」
男:D
「 なぁ、コイツでも良いんじゃねぇのか? 」
男:C
「 まぁ、確かに。
楽しい一夜は過ごせそうだけどなぁ… 」
男:A
「 なら、此のガキはどうすんだ?
兄貴は童顔のガキが好みなんだぞ 」
男:B
「 なら、やっぱ此方で── 」
セロフィート
「 君達、ワタシのマオから離れなさい 」
勝手に話を進めている男達に静かな声で言う。
マオ
「 ──セロ?!
オイ、退けよ! 」
男:E
「 黙ってろ!
痛い目に遭いたくないだろ? 」
マオ
「 ──何言ってんだ?!
セロに会わせろよ!! 」
セロフィート
「 マオ、落ち着きなさい。
君達、マオに何の様です? 」
男:A
「 兄貴の夜の相手を探してるんだよ。
丁度良い童顔のガキが店から出て来て驚いた 」
男:B
「 アンタの連れかよ?
ついてねぇなぁ 」
セロフィート
「 誰がです? 」
男:D
「 そりゃ、アンタに決まってるだろ。
ガキは俺達が連れてく。
アンタは俺達にガキを譲るんだよ! 」
セロフィート
「 冗談は顔だけになさい。
マオは誰にも譲りません 」
男:C
「 冗談って!?
冗談じゃないんだけど!
譲るのが嫌なら、買うけど。
幾らなら売ってくれる訳? 」
セロフィート
「 売る?
ワタシがマオを売ると?
マオはワタシの家族です。
売りません 」
男:A
「 ………………なら、アンタも来るかよ?
アンタ、美人だし、兄貴達の中には美人好きも居るしな。
きっとアンタを可愛がって、気持ち良くしてくれるよ! 」
セロフィート
「 ワタシを気持ち良く…です?
…………ふむ?
悪くないかも知れません 」
男:B
「 マジかよ?!
アンタも物好きだな…。
でも、アンタを連れてけば、俺達も昇格出来るかもだし… 」
セロフィート
「 今夜はワタシだけにしてください 」
男:D
「 は?
何言ってんだ?? 」
セロフィート
「 マオは未だお子ちゃま。
大人の世界を知るには未だ早い年齢です。
成人もしてませんし… 」
男:C
「 其は出来ないな。
兄貴は誰の手垢も付いてない童貞が好物なんだ。
みすみす逃がすかよ 」
セロフィート
「 ははぁ……。
其は残念です。
マオの身体は隅々迄ワタシの手垢付きです 」
男:E
「 ふ〜ん?
驚いた。
お前、手垢付きなんだな? 」
マオ
「 なっ何だよ、『 手垢付き 』って… 」
男:E
「 あ〜〜〜……?
お前、自分が何されてるのか知らないのか? 」
マオ
「 どういう事だよ?? 」
男:E
「 知らないのは幸せだな 」
マオ
「 だから、何だよ??
良いからセロに会わせろよ! 」
男:E
「 どうすんだよ、カルイム。
手垢付きなんて連れてけないぞ。
俺達が逆に掘られちまうよ 」
男:D
「 黙ってれば分からねぇだろ! 」
男A:カルイム
「 …………綺麗な顔してヤる事はヤってる訳かよ。
家族だって?
聞いて呆れるぜ! 」
セロフィート
「 家族の定義に決まりはないです。
君達は兄弟同士で行為をさせられている口でしょう。
ワタシのマオを君達の身代わりに利用するのは止めてほしいですね 」
男:D
「 なら、アンタがガキの代わりに兄貴達の相手をするって言うのかよ?
俺達の身代わりになってくれんのかよ? 」
セロフィート
「 構いませんよ。
ワタシが君達の兄貴さん達の相手をする事で、マオを諦めてくれるなら 」
男:B
「 ──マジかよ?!
俺達の兄貴達が、どんなに卑劣でゲスい奴等なのか知らないくせに! 」
セロフィート
「 当たり前です。
≪ 港町 ≫へ来たのは今日ですし。
素性も顔も知らない相手にワタシのマオを会わせると思いますか 」
男:C
「 どうすんのさ、カルイム 」
男A:カルイム
「 ………………アンタは旅人なんだよな?
男相手に何が出来る? 」
セロフィート
「 ワタシは吟遊詩人です 」