5.食堂 5 〜 酒が飲めるぞ 4 〜
妄想の賜物なのか、少しだけ慰めになったの様で、セロフィートへの怒りは薄れた。
セロフィート
「クルスさん、有り難う御座います。
助かりました」
クルセイル
「役に立てて何よりだよ。
明日は楽しんでくれよな!」
セロフィート
「勿論です。
きっと明日も楽しめると思います♪」
クルセイル
「程々にな?
…………セロさんには悪い事しちまったよな…。
4時間もマオを借りちゃってさ…」
セロフィート
「ふふふ(////)
構いません。
とても面白い余興でした。
女装プレイとやらも偶には良いですね♪」
クルセイル
「余興…って……。
もしかして、明日も女装させて行く気じゃないよな??」
セロフィート
「まさか。
そんな事しません。
種は蒔き終えてますし」
クルセイル
「種だぁ?
花でも育ててるのか?」
セロフィート
「ふふふ。
花は花でも、笑いの花です♪」
クルセイル
「………………笑いの花…ねぇ?
( ──まぁ、何でもいいか )
セロさん、明日は早いのに遅くなって悪かったな。
此、マオが稼いだ酌代な」
セロフィート
「有り難う御座います、クルスさん。
おやすみなさい」
クルセイル
「おう、おやすみ!」
セロフィートと話を終えたクルセイルは、テーブルの上に酌代の入った箱をドンッと置いた。
音からして、かなりの量の500Q硬貨が入っていそうだ。
セロフィート
「──マオ、起きてください。
《 宿泊室 》へ戻りますよ」
マオ
「ん゛〜〜〜〜〜〜……ダルい。
歩けない……」
セロフィート
「冗談は《 宿泊室 》へ戻ってから好きなだけ言ってください」
マオ
「…………分かったよ…。
──で?
クルスさんは??」
セロフィート
「〈 従業員 〉さんと一緒に後片付けされてます」
マオ
「話は終わったって事??」
セロフィート
「とっくに。
マオ、ちゃんと聞いてました?」
マオ
「…………………………全然…」
セロフィート
「ワタシが聞いてますし、気にしなくて良いです。
1人で立てます?」
マオ
「…………うん…。
心のダメージが深いだけだから……」
セロフィート
「心のダメージ…です?
面白い事言いますね」
マオ
「何処がだよ〜〜〜〜」
クスクスと笑うセロフィートに向かって文句を言いながら、マオは椅子から腰を浮かせて立ち上がる。
マオ
「…………はぁ…。
《 宿泊室 》に戻ったら、速攻で脱いでやる!!」
セロフィート
「勿体無いです。
折角ですし、明日も女の子で行きましょう」
マオ
「何でだよ!!
明日は鉱石を掘るんだろ!
女装して行けるかよ!」
セロフィート
「クルスさんから聞きましたけど、最近の鉱石採掘体験には女の子の方が多いそうです」
マオ
「はぁぁん?
何でだよ!
採掘って土が付いて汚れるし、汗掻くし、力仕事だろ〜〜。
か弱い女の子が好き好んでするとは思えないんですけど?」
セロフィート
「若くて逞しい素敵な男性がアドバイザーで付いてくれるそうです。
常連になるとアドバイザーの指名が出来て、会員になるとアドバイザーの指名と予約が出来るとか。
商売上手ですね」
マオ
「…………其って餌に釣られてカモられてるだけなんじゃ……」
セロフィート
「そうでしょうね。
大事な金蔓…もとい収入源の1つになってます」
マオ
「………………だろうな…。
──ん?
此の箱って……」
セロフィート
「クルスさんからです。
明日の装飾代にとくれました。
マオが1人で稼いだお酌代です。
頑張れましたね、マオ」
マオ
「…………何か重そうだな?」
セロフィート
「ワタシが運びます。
マオは持たなくて良いです」
マオ
「セロ……。
何時もは重いの持ちたがらないくせに…。
有り難な!(////)」
セロフィート
「どう致しまして。
明日も女装してくださいね、マ〜〜オ♪」
マオ
「するかっ!!
もっ、貸せよ!
オレが《 宿泊室 》迄持ってく!!」
セロフィート
「嫌で〜〜〜す。
身長差のあるワタシから取れるものですか」
テーブルの上に置いてある重たい箱をセロフィートはヒョイッと軽々持ち上げる。
どんなにマオがジャンプをしても、箱に手が届く事はない。
セロフィートは箱を持ったまま《 食堂 》を出て行く。
箱の事は取り敢えず諦めたマオは、文句を言いながらセロフィートの後を追い、《 食堂 》を出た。