──*──*──*── 宿屋街
──*──*──*── 宿屋・クルセイル亭
──*──*──*── 宿泊室
《 飲食街 》から《 宿屋街 》へ入ったセロフィートとマオは、《 宿屋 》に戻もって来きた。
夕ゆう食げには未まだ時じ間かんがあり、《 宿しゅく泊はく室しつ 》で明あ日すの予よ定ていについて話はなし合あう事ことにした。
セロフィートは何な故ぜだか《 酒さか場ば街がい 》へ行いきたがったが、マオの必ひっ死しに阻そ止しした頑ばん張ばりが講こじて、セロフィートと共ともに《 宿しゅく泊はく室しつ 》に居いた。
セロフィートが態わざ々わざ《 酒さか場ば街がい 》へ行いきたがったのには、理り由ゆうがあった。
別べつに大たいした理り由ゆうではなく、一寸ちょっとだけマオを困こまらせて、おちょくりたかっただけである。
本ほん当とうにセロフィートが《 酒さか場ば街がい 》へ行いきたければ、マオを強きょう制せい的てきに眠ねむらせてから行いくのだが、マオは其その事じ実じつを知しらないが故ゆえに『 態わざと 』されている事ことが分わからず、セロフィートを止とめるのに真しん剣けんに必ひっ死しになった訳わけだ。
そんなマオの様よう子すが、セロフィートには面おも白しろ可お笑かしくて堪たまらないのだ。
マオ
「──全まったく!!
ワインを10本ぽんも空カラにしといて、『 《 酒さか場ば街がい 》に寄よってから《 宿やど屋やクルセイル亭てい 》に戻もどろう 』なんて!!
一寸ちょっとは酒さけを飲のめないオレの身みにもなれよ!!」
マオは何い時つにも増まして強つよ気きだった。
相そう当とう、気きが立たっているのだろう。
マオが怒おこると大だい体たいはこんな感かんじで、セロフィートに対たいしても上うえから目め線せんで責せめる様ように文もん句くを言いって来くる。
セロフィートは上うえから目め線せんで怒いかり、突つっ掛かかって来くるマオが好すきだった。
ドSエスで鬼き畜ちくサドでもあるセロフィートは、マオに怒ど鳴なられても慈じ母ぼ神しんの様ような微ほほ笑えみ、ヒラリとかわし、サラリと流ながしてしまう。
其それは、お節せっ介かいな世せ話わ好ずきの小こ煩うるさいマオが面おも白しろいからだ。
マオには其その気きが全まったくなくても、自じ分ぶんセロフィートを存ぞん分ぶんに楽たのしませてくれるマオに怒いかり等などという感かん情じょうは一いっ切さい湧わいて来こない。
キャンキャンと吠ほえながら、噛かみ付ついて来くる姿すがたが可か愛わいくて仕し方かた無ないからだ。
今いまのマオに『 可か愛わいい♪ 』と言いって頭あたまを撫なで撫なでしてあげたらならば、もっと怒おこるに違ちがいない。
セロフィート的てきには少しょう々しょう物もの足たりないが、キャンプファイヤーにタンクローリー1杯ぱい分ぶんの油あぶらを注そそいで大だい炎えん上じょうさせるぐらい、楽たのしいだろう。
其それだけマオはセロフィートの御お気きに入いりなのだ。
マオの怒ど鳴なり声ごえは、廊ろう下かだけでなく左さ右ゆうの《 宿しゅく泊はく室しつ 》や下したの《 宿しゅく泊はく室しつ 》には聞きこえない。
だから、マオは周まわりを一いっ切さい気きにする事ことなく、セロフィートを容よう赦しょうなくキャンキャンと怒ど鳴なり散ちらして責せめるのだ。
マオ
「──全まったく!」
本ほん日じつ何なん度ど目めかの『 全まったく! 』を使つかったマオは、大おおきな溜ため息いきを吐はいた。
マオ
「…………セロが『 《 酒さか場ば街がい 》に行いきたい 』なんて、ごねなきゃ、《 商しょう店てん街がい 》に寄よって《 装そう飾しょく店てん 》を見みて廻まわりたかったのに……」
セロフィート
「良よいではないです?」
マオ
「何なにがだよ!」
セロフィート
「夕ゆう食げの後あと、クルスさんが直じき々じきに、お薦すすめの《 装そう飾しょく店てん 》を教おしえてくれる事ことになりましたし。
楽たのしみは明あ日すに残のこしておきましょう」
マオ
「………………まぁ…うん……そうなんだけど……」
セロフィート
「其それに《 鉱こう山ざん 》で鉱こう石せきの採さい掘くつ体たい験けんをする際さいに、知しり合あいのベテランさんを紹しょう介かいしてくれるそうですし。
良よい事こと付づくめです♪」
マオ
「……其それもそうだけど……」
セロフィート
「明あ日すの鉱こう石せき掘ほりと《 装そう飾しょく店てん 》巡めぐり、楽たのしみですね♪」
マオ
「う、うん……。
まぁ…楽たのしみだけど……」
セロフィート
「昼ひる食げは《 遊ゆう男だん廓かく 》の中なかにある《 飲いん食しょく店てん 》で済すませましょう。
《 飲いん食しょく街がい 》では味あじわえない様ような美お味いしい料りょう理りを食たべれるそうですし」
マオ
「……へぇ?
そうなんだ??」
セロフィート
「値ね段だんは少しょう々しょうお高たかいそうですけど、問もん題だいないですし」
マオ
「値ね段だんが高たかいのか??」
セロフィート
「みたいです。
珍めずらしいお酒さけも多た数すう取とり揃そろえてるそうです」
マオ
「もうっ!
昼ひる間まっから酒さけを飲のむのは駄ダ目メだぞ!」
セロフィート
「マオ…。
自じ分ぶんが飲のめないからって…」