5.廊下 1 〜 行方不明者の謎 1 〜
──*──*──*── 冒険者ギルド
──*──*──*── 廊下
マオ
「ええと…其で…アンドレムさんとイシュハルトさんはどうしてるの?」
受付嬢
「はい……実は……アンドレム様もイシュハルト様も行方不明となっております……」
マオ
「行方不明?!
な、何で??
やっぱり…セロが原因で??」
セロフィート
「マオ…」
マオ
「だってさ、「 船を手配しとく 」みたいな事を言ってたのに、アンドレムさんもイシュハルトさんも結局《 港 》に来なかったじゃんか。
代わりにジェリエンツさんを寄越してたろ?
セロに会いたくなかったんだよ。
関わりたくなかったのかも!
土下座させてたし!
脅してただろ。
もしかしたら、行方不明って言うよりも、失踪したんじゃないのか?
セロから避難する為にさ」
セロフィート
「マオ…。
そんなにワタシを悪者にしたいです?
ワタシはアンドレムさんもイシュハルトさんも脅してません。
冷静に話し合いをしていただけです」
マオ
「良くもそんな事が言えるもんだな!
オレはヒヤヒヤしっぱなしだったんだぞ!」
受付嬢
「マオ様の言われる様に……失踪されたのか、避難されたのか……詳しい事は未だ何も分かっていません…」
〈 受付嬢 〉の話を掻い摘まむと、アンドレムは《 自宅 》の《 寝室 》から忽然と消えていたらしい。
夫と同じベッドで眠っていた妻が、朝起きたら夫の姿がない事に気付き、使用人達と共に《 自宅 》の中を探し回ったが見付からなかったそうだ。
出掛けた形跡は一切なく、妻は《 警察署 》へ捜索願いを出したらしい。
イシュハルトは時間になっても出勤をして来なかった為、《 自宅 》へ何度も連絡をしたが、全く繋がらず、部下に《 自宅 》へ行かせたが、戸締まりが確りとされており、中へは入れなかったらしい。
そんな訳で、《 警察署 》に駆け込み、イシュハルトの《 自宅 》のドアの鍵を開けてもらい、室内へ入った部下は、〈 警察官 〉と共にイシュハルトを探したそうだ。
然し、隅々迄探してみたが、イシュハルトの姿は《 自宅 》の何処にもなかった。
イシュハルトも出掛けた形跡は見当たらなかった。
どうやらイシュハルトは独り暮らしではなく、誰かと同棲をしていたらしく、《 寝室 》の床には脱ぎ捨てられていたバスローブが2着落ちていたそうだ。
ベッドは乱れており、イシュハルトは同棲相手と、お楽しみ中だったのではないか──とされている。
お楽しみ中に2人が揃って何処かへ行くのは不可解だった。
イシュハルトの《 自宅 》は、室内から確りと鍵が掛けられており、完全な密室になっていたからだ。
事件性がある──と判断され、現在もイシュハルトと同棲者の捜索が続けられているとの事だ。
マオ
「………………」
〈 受付嬢 〉の話を聞いたマオは言葉を失っていた。
受付嬢
「そうですわ。
実は──、ジェリエンツ様もは一昨日から行方知れずとなっています。
上司の命令で職場から《 港 》へ向かったらしいのです。
《 港 》でジェリエンツ様の姿は〈 漁師 〉達に目撃されていました」
マオ
「ジェリさんなら知ってるよ。
アンドレムさんとイシュハルトさんの代理役で来てて、会ったもんな」
セロフィート
「そうですね。
ジェリさんの行方は《 港 》で分からなくなりました?」
受付嬢
「いいえ…。
船に乗ったセロフィート様とマオ様を見送った後、ジェリエンツ様が《 港 》を出て行く姿が目撃されているそうです」
セロフィート
「ははぁ…。
其は確かです?」
受付嬢
「はい。
〈 漁師 〉達が証言されたそうです。
其にジェリエンツ様が《 港 》から出て来る姿も目撃されていたそうです」
セロフィート
「どちらにも目撃者が複数名居るなら信憑性はありますね」
マオ
「ジェリさん……。
《 港 》を出てから何処に行ったんだろう??
職場には戻らなかったのかな?」
受付嬢
「職場には戻って来なかったそうです。
ジェリエンツ様の《 実家 》から職場の方へ「 息子が帰宅しない 」と連絡があったそうです」