5.港 〜 ただいま、ピレトレッシン 〜
──*──*──*── 港町ピレトレッシン
──*──*──*── 港
船から降りたマオは両手を上へピィンと伸ばすと大きな背伸びをした。
マオより先に船から降りていたセロフィートは、《 港 》で仕事をしている〈 漁師 〉達に声を掛け、話をしている。
≪ セロフィー島 ≫から大分離れた所で、セロフィートが発動させた〈 古代魔法 〉に依り、≪ 港町 ≫から100m程離れた海上に転移した。
《 港 》を目指して、マオは100mもある距離を1人で見事に漕ぎきったのだ。
そんな訳でマオは、「 此でもかっ!! 」と背伸びをしているのだ。
セロフィート
「──マオ、《 冒険者ギルド 》へ行きましょう」
マオ
「セロ!
〈 漁師 〉に何を話したんだ?」
セロフィート
「決まってます。
無事に『 海賊退治 』を終えた事です。
安心して漁に出る事も≪ 港町 ≫へも行ける様になった事も教えました」
マオ
「そんなの《 冒険者ギルド 》に報告すれば、《 冒険者ギルド 》が知らせてくれるんじゃないのか?」
セロフィート
「大事な船を1隻譲ってもらった御礼も兼ねてます」
マオ
「ふ〜ん…?
セロにしては親切さんだな?」
セロフィート
「ワタシは何時でも親切さんです」
マオ
「そうかよ?
因みにだけどさ、袋の中身は見せてないよな??」
セロフィート
「はい?
見せましたけど」
マオ
「は?
み…みっ見せた?!
見せたって……、〈 海賊 〉の〈 船長 〉の首だろ?
何で見せちゃうんだよっ!!」
セロフィート
「話しても、笑われるだけで信じてくれませんし。
生首を見せたら〈 漁師 〉さん達も素直に信じてくれました♪」
マオ
「…………そりゃ…血生臭い生首なんて見せられたら嫌でも信じるしかないだろ!!」
セロフィート
「ふふふ♪」
マオ
「いや…、『 ふふふ♪ 』じゃないから…」
停泊させている船を消したセロフィートは、今にも頭を抱えそうなマオの左手を握ると歩き出した。