5.セロフィー島 2 〜 さよなら、セロフィー島 2 〜
セロフィートは敢えて〈 古代魔法 〉でも出来る事は少ない──という嘘の情報をマオに植え付けていた。
要は出来る事を敢えて制限を科した『 縛りプレイの様なもの 』だと思ってもらえれば通じるだろうか??
そんな訳で、マオは≪ セロフィー島 ≫にジェリエンツが居る事も、≪ セロフィー島 ≫に残される事を知らないのである。
因みに後から転移されて≪ セロフィー島 ≫に来た3名の存在も知らない。
セロフィート
「マオ、皆さんへお別れを言わなくて良いです?」
マオ
「お別れ……たってなぁ?
………………彼の…海で遭難してる所を助けてくれて有り難う。
御世話になりました」
少し考えたマオは、当たり障りのない御礼を言った。
ふと見ると、涙を拭っている子供が居た。
別れを悲しんでくれて居るのだろうか。
自分にじゃなくて、セロにだろうなぁ──と思ったりする。
子供達の小さな獣耳はヘタリ…と垂れており、尻尾は落ち込んでいるみたいにしょんぼりと垂れて、力なく揺れていた。
ギガントカワユスだった。
こんなに可愛い子供達が、数年後には〈 時空の亀裂 〉から受ける負の影響で凶暴化し、人間にとって脅威の存在となってしまうのが、どうにも信じられないし、信じたくないと思った。
セロフィートの〈 古代魔法 〉に依って≪ セロフィー島 ≫は隔離されているのだから、取り敢えずは安心だろう。
セロフィート
「マオ、行きましょう」
マオ
「ん…、そだな…」
セロフィートに促されたマオは、船に乗ろうとした。
子供:G
「──マオちゃんっ!!
マオちゃん、行っちゃうの?!」
マオ
「えっ?!
オ、オレ??」
子供:E
「もう会えないの??
マオちゃん、もっと居てよ!!」
子供達は、ぶわっと涙を流しながらマオに抱き付いて来た。
マオ
「…………御免な…。
もう戻らないといけないんだ…。
元気でな…」
子供:F
「マオちゃ〜〜〜ん!!」
セロフィート
「──マオ、何してます」
マオ
「あ、うん…。
直ぐ行くよ」
ガッシリとマオに抱き付きホールドしている子供達を何とか引き剥がしたマオは、停泊している船迄走った。
子供達はマオを追い掛けて走って来るが、急いで船を漕ぎだしたお蔭で何とか《 港 》から離れる事が出来た。
マオ
「………………。
皆〜〜〜っ、楽しかったよ〜〜。
元気でな〜〜〜!!」
櫓を動かしていた手を止めると、両手を上に挙げ、大きな声に負けない様に元気よく左右に振った。
セロフィート
「マオ、泣いてます?」
マオ
「──泣いてないよっ(////)
目に海水が入っちゃったんだよ!」
セロフィート
「そういう事にしとくとしましょう。
ふふふ♪」
マオ
「………………はぁ…。
一寸寂しいな…」
セロフィート
「子供達の目、ギラ付いてましたね。
拉致される前に出られて良かったです」
マオ
「なんて事言うんだよ。
あんなに別れを惜しんでくれた子供達に向かって!」
セロフィート
「ははぁ…。
マオにはそう見えましたか。
未々ですね…」
マオ
「どういう意味だよ?」
セロフィート
「マオ、手を動かして確り漕いでください」
マオ
「分かってるよ…。
漕ぎますよ!」
櫓を掴んだマオは、必死に船を漕ぐのだった。