5.海賊船 4 〜 海賊狩り 4 〜
──*──*──*── 船内
ドアを開けて船内へ入ったマオだが、想像していたよりも船内はシ〜〜〜ンと静まり返っている。
コツコツ…とマオが歩く度にブーツの音が響くだけだ。
マオ
「……誰も居ないなんて変だよな。
セロが《 合成獣の楽園 》に転移させたのかな??
…………うん。
セロならやりそうだよな」
誰も居ない事を良い事に、マオは独り言を言いながら歩いた。
下から悲鳴の様な声が微かに聞こえる。
多分、悲鳴で間違いないと思う。
此の《 海賊船 》の〈 船長 〉の悲鳴だろうか。
其とも生き残りの〈 海賊 〉が居て、セロフィートに遊ばれている〈 海賊 〉の悲鳴かも知れない。
マオは短めの溜め息を吐くと、下の階に通じる階段を探す為に走り出した。
──*──*──*── 地下2階
マオ
「…………此の《 海賊船 》広過ぎだろ!!
何で地下2階があるんだよ!!」
文句を言いながらマオは悲鳴が聞こえる場所を目指して歩く。
シ〜〜〜〜ンと静まり返っている船内は不気味だ。
不意に何かが出て来ても直ぐに対処が出来る様にと、マオは愛刀を構えたまま歩いていた。
悲鳴の聞こえる部屋の前に着くと、マオはゴクリ…ゴクリ…と数回も生唾を飲み込んだ。
けたたましい悲鳴に耳を塞ぎたくなりそうだ。
マオ
「……まるで潰されたマンドラゴの叫び声みたいだよ…。
此の中に居るんだよな?
セロが〈 船長 〉で遊んでるかも知れないんだよな??
…………開けたくないなぁ。
開けないで此のまま待ってて良いかな……」
等と独り言を言っていると、マオの期待を裏切る様に自然にドアが開いた。
自動ドアではない。
御丁寧にも中に居る誰かが開けてくれたのだ。
マオ
「( 開いちゃったよ… )」
マオは溜め息を吐いて諦めると、開いたドアを掴むと室内に入れる迄に開けた。
ドアを開けるとマオの愛しい相手──、セロフィートがドアを見詰めて立っていた。
マオ
「セロ──」
セロフィート
「早かったですね。
6隻目ですし、慣れました?」
マオ
「嫌でも慣れちゃったかな!
何してるんだよ?
マンドラゴみたいな気味悪い悲鳴が気持ち悪いよ…」
セロフィート
「だって…。
全然財宝の在りかを教えてくれなくて…」
マオ
「…………あのさぁ、態々聞かなくたって、セロなら簡単に見付けれちゃうだろ!
其にさ、とっくに財宝はガッポリした後なんだろ?
騙して遊ぶなんて質が悪いよ!」
セロフィート
「ワタシも楽しみたいです」
マオ
「楽しまなくて良いよ!
〈 船長 〉の生首は?」
セロフィート
「ちゃんと袋に入れてます♪」
マオ
「そうかよ。
じゃあ、悲鳴の主は〈 船長 〉じゃないんだ?」
セロフィート
「〈 船長 〉には子供が居ました。
ふふふ(////)
色男──と呼ばれる類いですね」
マオ
「色男…ね?
──で、其の色男をどうしてる訳だよ?」
セロフィート
「遊んでました♪
でも…壊れてしまって…。
マオにも見せたかったです」
マオ
「………………見せてくれなくて良いから…。
用が済んだんなら次に行こう」
セロフィート
「はいはい。
其の前に後片付けさせてください」
マオ
「後片付け?
良いよ、そんなの。
〈 テフ 〉に変換しちゃえよ!」
セロフィート
「良いです?」
マオ
「良いよ…」
セロフィート
「は〜〜い♪」
セロフィートはさっき迄遊んでいた『 つい先程迄は人間だったのだろう物体 』を〈 テフ 〉に変換した。
マオ
「此の《 海賊船 》も〈 テフ 〉に変換するのか?」
セロフィート
「勿論です。
証拠は隠滅するものです」
マオ
「じゃあ、さっさとしろよ。
セロ…後、何隻こんな事するんだ?」
セロフィート
「時間が来る迄します。
〈 船長 〉の生首は可能な限り沢山あった方が良いです」
マオ
「…………そうなの??
まぁ…何はともあれ、此で暫くは安心して海の上を航海出来る様になるのかな?」
セロフィート
「どうでしょう?
新しい〈 海賊 〉が出て来るかも知れません」
マオ
「…………ははは…。
金蔓は居なくならない訳だな…」
セロフィート
「ですね♪」