✔ 1.ハリンポルト 3 〜 おかしな飲食店 3 〜
マオ
「 他の兎肉よりも香りが良い??
川兎の肉は鳥のササミみたいな食感がする…。
──野兎には嫌な思い出があるから何か複雑な気分になるんだよなぁ…。
いや、美味いんだけどさ… 」
セロフィート
「 砂兎の肉はどの兎肉よりも噛みごたえが良いです。
燻製に適しているそうです。
何の兎肉も違いを楽しめるのが良いですね 」
マオ
「 ──だな!
次はハンバーグだったよな?
其の次がパイ包みとシチューだっけ? 」
セロフィート
「 蒸した兎肉に兎の骨から取れたダシを使った野菜ジュレをかけた料理もありますね。
串を刺して炭焼きした兎肉もあります。
ホイル焼き,ソテーも美味しそうです 」
マオ
「 兎肉を使ったサラダもある!
兎肉のスライスと裂いたのが選べるんだな 」
セロフィート
「 追加します? 」
マオ
「 未だ良いよ。
シチューが来たら注文しようよ 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロフィートとマオは他愛のない会話をしながら、料理を平らげていった。
シチューが運ばれて来ると、セロフィートが更に兎肉料理を追加した。
セロフィートもマオも舌鼓を打ちながら、運ばれて来る料理を味わうのだった。
マオ
「 ──なぁ、セロ… 」
セロフィート
「 どうしました、マオ。
デザートを頼みます? 」
マオ
「 デザート?!
じゃあ…珈琲ゼリーパフェが良い。
バニラアイス,抹茶アイス,ナッツアイスをトッピングして、生クリーム多めで! 」
セロフィート
「 はいはい。
兎肉のサラダが来たら注文しましょう。
他にはあります? 」
マオ
「 う〜ん……グラタンとオムライスも食べたいな。
後、角切りステーキ! 」
セロフィート
「 はいはい。
──其で、何か気になる事でもあります? 」
マオ
「 ん〜〜〜。
{ クラウノさんが言ってた “ 海賊 ” の事なんだけどさ… }」
物騒な話になりそうだと判断したマオは、声を潜めて話す事にした。
セロフィートは耳が良い為、小声で話しても何の問題もないのだ。
セロフィート
「{ 漁師達の間では “ 海賊の所為 ” だと言ってましたね。
其がどうしました? }」
マオ
「{ 魚市通りで営業してた鮮魚店,魚介店,魚屋で売られてた魚や貝類ってさ、何れも似た物ばかりだったよな。
ひょっとしたらさ、漁を海賊に邪魔されて、獲れないのかも知れないよな? }」
セロフィート
「{ 否定は出来ませんね }」
マオ
「{ セロは明日、冒険者ギルドへ行くだろ?
序でにさ、漁師達が集まる酒場で情報収集とか出来ないかな? }」
セロフィート
「{ 心配しなくても其のつもりです。
≪ 港町 ≫へ行く為には、海で起きている問題があるなら解決させなければなりません。
其らしい依頼が入っていれば受けます }」
マオ
「{ うん。
オレさ、海賊なんて本の挿し絵でしか見た事ないんだよな。
どんな感じなのかな??
セロは見た事あるの? }」
セロフィート
「{ ありますよ。
豪華な格好をしている海賊も居れば、みすぼらしい格好をした海賊
も居ます。
身ぐるみを剥いで海へ落としてしまえば終わりです。
衣服,武器,船,宝は頂けば良いですし }」
マオ
「{ ……………………セロに掛かれば海賊も形無しだよな… }」
セロフィート
「{ 筏で漂流している風を装おって近付くと割りと簡単に船へ乗せてくれます。
漂流者に警戒しない様です }」
マオ
「{ ………………疚しい下心があって、セロを船に乗せたんじゃないのかよ? }」
セロフィート
「{ 船に乗り込めれば良いですし、理由は何でも良いのです }」
マオ
「{ ………………セロが怖い… }」
セロフィート
「{ 何を言います?
ワタシは何も怖い事はしません }」
マオ
「{ しょっちゅうしてるだろ〜〜 }」
セロフィート
「{ してませんし }」
マオ
「{ 自覚してない所が1番怖いわ!! }」
セロフィート
「{ 歴代の先代達と比べてもワタシは優しい方です。
褌1枚にして海に落とすだけですし。
何も鮫や海月の大群の中へ落とす訳でも、極寒の猛吹雪の中や煮えたぎる溶岩の中へ落とす訳でもないですし。
優しいでしょう? }」
マオ
「{ ……………………身ぐるみ剥いでる時点で優しくはないと思うけど… }」
セロフィート
「{ そんな事ないです。
海水を含んだ衣服は重くなり、泳ぎ難くなりますし、無駄に体力を奪い、溺れる確率も上がります }」