「 五日目 」の始まりです。
「 タイトル詐欺にならないように── 」と思って考えました。
──*──*──*── 海上
──*──*──*── 海賊船
──*──*──*── 甲板
《 海賊船 》の甲板の上に謎の〈 魔法陣 〉が突如出現した。
光った〈 魔法陣 〉の中央に現れたのは、高身長のセロフィートと低身長マオの凸凹コンビだった。
血の気の多い荒くれ者の〈 海賊 〉達は武器を構えると、招かれざる客である侵入者の怪しい2人組に襲い掛かった。
マオが飽き飽きしてしまっているお決まりの展開だった。
うんざり気味にマオは愛刀を抜刀すると、慣れた手付きで振るっていく。
セロフィートがマオの為に用意した刀は、人間が使う一般的にな刀と見た目は同じだが、素材は鉄ではなく、全く異なる素材で出来ている。
切れ味は篦棒に良く、羽根の様に軽い。
鞘から抜かない時は鞘ごと柔らかくなり、邪魔になり難い。
マオには羽根の様に軽い刀だが、マオ以外には重たくて持ち上げられない仕様になっている。
マオが軽く振るだけで、人間の身体すらも簡単に真っ二つに斬れてしまう。
そんなおっかなくヤバい刀を使って、マオは向かって来る〈 海賊 〉達の武器を甚も簡単に切断した。
一旦はマオに怯むものの、〈 海賊 〉達が尻尾を巻いて、おずおずとマオの前から退散する事ことはなく、無む謀ぼうにもマオを倒たおそうと果か敢かんに立たち向むかって来くる。
マオは一いっ切さいの手て加か減げんをせず、〈 海かい賊ぞく 〉達たちを容よう赦しゃなく無む慈じ悲ひに斬きっていく。
《 海かい賊ぞく船せん 》の甲かん板ぱんは大たい量りょうの血ちの海うみと化かしており、屍しかばねが転ころがる無む惨ざんな光こう景けいが広ひろがっている。
どんなに血ちが飛とび散ちろうとも血ちの染しみが一いっ切さい付つかない真まっ白しろなコートと真まっ白しろなブーツは〈 海かい賊ぞく 〉達たちはから見みると異い様ようだった。
“ 鬼きっ子こ ” ──と〈 海かい賊ぞく 〉の誰だれかが呟つぶやいた。
〈 海かい賊ぞく 〉達たちにとってマオは恐おそろしい存そん在ざいとなっていた。
甲かん板ぱんにはマオの姿しかしかない。
マオが〈 海かい賊ぞく 〉達たちを相あい手てにしている隙すきに、セロフィートは〈 船せん長ちょう 〉へ会あいに行いったのだ。
マオは〈 船せん長ちょう 〉の事ことを不ふ憫びんに思おもいながら、刀かたなを振ふるるう。
〈 船せん長ちょう 〉の相あい手てをするのが誰だれでもないセロフィートなのだから当とう然ぜんだった。
セロフィートは『 〈 船せん長ちょう 〉の生なま首くびを持もって行いけば── 』と言いっていた。
生なま首くびさえ無ぶ事じならば良よい訳わけだから、〈 船せん長ちょう 〉が一いっ体たいどんな酷むごい仕し打うちを受うけるのかは、完かん全ぜんにセロフィートの気き分ぶん次し第だいだった。
面おも白しろい事ことが好すきなセロフィートの事ことだから、きっと思おもい付ついた様さま々ざまな『 面おも白しろい事こと 』を〈 船せん長ちょう 〉の身しん体たいからだで試ためして楽たのしむのだろう。
自じマ分ぶんオの刀かたなに斬きられて死しんで逝いく〈 海かい賊ぞく 〉達たちに対たいして、『 未まだ恵めぐまれている方ほうなのだ 』と思おもえて止やまない。
命いのちを奪うばう事ことに対たいしては、今いまでも抵てい抗こうはある。
然しかし、綺き麗れい事ごとや戯ざれ言ごとを吐はいて、どうこう出で来きる世せ界かい情じょう勢せいでもない。
〈 皇コウ 〉が不ふ在ざいの≪ エルゼシア大たい陸りく ≫は未まだ強きょう者しゃが殺ころし、弱じゃく者しゃは殺ころされる世よの中なかなのだ。
本ほん当とうに相あい手てを殺ころさないで事ことを解かい決けつ出で来きるのは、超ちょう強きょう者しゃぐらいだ。
マオは弱よわい。
だから、相あい手てを殺ころさないと解かい決けつが出で来きない。
トイチ八賢悳壹から、『 「 逆さか刃ば刀とう 」と呼よばれる刀かたなもある 』と教おしえてもらったが、マオには縁えんのない刀かたなだった。
力ちからの加か減げんをする事ことが下へ手たなマオが、『 逆さか刃ば刀とう 』なる刀かたなを使つかったとしても、相あい手てを殺ころしてしまう可か能のう性せいが高たかい。
『 マオが「 逆さか刃ば刀とう 」を使つかっても意い味みないです 』とセロフィートからも言いわれていた。