4.小屋 〜 「 いいこと 」しまっしょい 〜
──*──*──*── 小屋
マオはセロフィートと向かい合って座っていた。
手作りの粗末な “ なんちゃってベッド ” の上にマオが座り、正方形のテーブルを挟んだ向かいには、座布団の上に座っているセロフィートが居た。
テーブルの上には地図が広げられている。
地図には≪ 町 ≫ 〜 ≪ 港街 ≫迄が描かれていた。
実に簡潔で分かり易い地図となっており、中間地点に建てられている《 中神殿 》は省略されている。
セロフィート
「──さて、マオとワタシの現在地は此処です。
此処が≪ 港町 ≫で、此処が≪ 港町 ≫です」
赤ペンを持って、印を書き入れがならセロフィートはマオに説明をしている。
マオ
「うん。
オレ達は昨日の昼、〈 漁師 〉達を困らせてて、≪ 港町 ≫への往来を邪魔してる〈 海賊 〉を退治する為に〈 漁師 〉から船を一隻買って海に出たんだよな」
セロフィート
「そうです。
≪ 港町 ≫の〈 漁師 〉達曰くの〈 海賊 〉です。
彼等の問題は取り敢えず解決しました。
〈 漁師 〉達が〈 亜人種 〉達に襲われる危険は無くなりました」
マオ
「うん。
セロが〈 古代魔法 〉で隔離したもんな!
〈 亜人種 〉の脅威は無くなった訳だし、一件落着だよな!」
セロフィート
「問題は『 「 海賊退治をした 」という証拠が必要である 』という事です」
マオ
「そう…だよな?
証明の出来る物が有れば《 冒険者ギルド 》にも信じてもらえるよな。
実際には『 海賊退治 』なんてしてない訳だし…。
でもさ、有りもしない証拠をどうやって手に入れるんだ?」
セロフィート
「〈 テフ 〉で構成すれば簡単ですけど、今回はしません」
マオ
「へっ??
今回はしない??
其って今回は何時もみたいな『 犯罪的アウトなズッコ 』をしないって事か?」
セロフィート
「そうです」
マオ
「……………………。
( 『 犯罪的アウトなズッコ 』ってのは認めちゃうんだな…。
今迄は白を切ってただけで元々自覚はあった訳かよ…? )
──其で?
ズッコしないでどうする気なんだ?」
セロフィート
「簡単です。
手当たり次第に『 海賊狩り 』をします」
マオ
「はっ??
なん…何て??
海賊狩り??」
セロフィート
「はい♪
此の機会に我が物顔で海を荒らし回っている〈 海賊 〉をガッツリ狩ります。
序でに〈 海賊 〉の財宝もガッポリしましょう♪」
マオ
「…………『 しましょう♪ 』って言ってもさ、明日には≪ セロフィー島 ≫を出るんだろ?
≪ 港町 ≫に戻る前に〈 海賊 〉を探して狩るのかよ?」
セロフィート
「明日な訳ないでしょう。
今から、明日の朝食迄の時間内で〈 海賊 〉を狩ります」
マオ
「は…い??
今…から??」
セロフィート
「そうです」
マオ
「………………『 朝迄寝かせない 』って…そう言う意味だったのかよ?」
セロフィート
「はい?
他に何かあります?」
マオ
「………………『 いいこと 』…するんじゃないのかよ?」
セロフィート
「『 いいこと 』です?」
マオ
「そうだよ!
セロとオレで、2人きりで『 いいこと 』するんだとばっかり……(////)」
セロフィート
「大丈夫です、マオ♪
〈 海賊 〉狩りは『 いいこと 』です♪
マオとワタシの共同作業ですし、〈 海賊 〉の〈 船長 〉の生首を持ち帰れば、《 冒険者ギルド 》で依頼を解決した証明になりますし、報酬もきちんと頂けます。
〈 海賊 〉の財宝もガッポリ出来ますし、十分に『 いいこと 』です♪」
マオ
「…………確かに良い事尽くめかも知れないけど……。
オレがセロとしたい『 いいこと 』はそんな血生臭い事じゃなくて……」
セロフィート
「マオ、『 いいこと 』に代わりないです。
〈 海賊 〉狩りに行きましょう」
セロフィートはテーブルを瞬時に消すとマオの手を握る。
既に〈 古代魔法 〉は発動しており、〈 魔法陣 〉が光るとセロフィートとマオの姿は《 小屋 》から忽然と消えた。