4.浜辺 5 〜 器人形の秘密 2 〜
マオ
「〈 器人形 〉って壊れないのか?」
セロフィート
「壊れ易いとコキ使えないでしょう。
〈 器人形 〉は首の後ろに〈 魔法陣 〉が付いてます。
稼働中は〈 魔法陣 〉によって守られます。
重い物を持ち運べますし、灼熱や極寒にも耐えれます」
マオ
「丈夫なんだな〜〜」
セロフィート
「そうでしょう?
マグマの中へ投げ入れても溶けませんし、深海の底へ沈めても水圧に押し潰される事もないです。
〈 古代魔法 〉に守られてる〈 器人形 〉は凄いのです」
マオ
「う、うん…。
〈 器人形 〉が凄いのは分かったよ…。
そんな凄い〈 器人形 〉を作れちゃうなんて、昔の人は凄かったんだな」
セロフィート
「人ではなく〈 天族 〉です」
マオ
「天族ぅ??」
セロフィート
「≪ 天界 ≫で暮らしていた〈 天使 〉が≪ 人界 ≫へ降りた者達を〈 天族 〉と呼んでました。
≪ 人界 ≫は、≪ 人間界 ≫の略称です。
〈 天族 〉は≪ 天上界 ≫と≪ 地上界 ≫に分かれて暮らしました。
≪ 天上界 ≫で暮らす道を選んだ〈 天族 〉を〈 天上人 〉と呼び、≪ 地上界 ≫で暮らす道を選んだ〈 天族 〉を〈 地上人 〉と呼んで区別しました。
〈 天族 〉は長命ですから、短命の人間からは〈 長命種 〉と呼ばれてました。
反対に〈 天族 〉は短命な人間を〈 短命種 〉と呼び、互いを区別してました」
マオ
「そうなんだ…」
セロフィート
「長命な〈 天族 〉は≪ 天上界 ≫と≪ 地上界 ≫を繋ぎ往来の出来るゲートを使い数千年程は交流を続けてました」
マオ
「へぇ?
≪ 天上界 ≫と≪ 地上界 ≫を繋ぐゲートなんてあるんだ?」
セロフィート
「≪ エルゼシア大陸 ≫には無いですよ。
他所の≪ 大陸 ≫にゲートの跡地があります。
作動しませんけど…」
マオ
「動かないのか?」
セロフィート
「壊されてますし」
マオ
「そうなんだ…。
〈 天族 〉が壊したのか?」
セロフィート
「さぁ?
其はワタシにも分かりません。
〈 古代魔法 〉を発動させなければ使えないゲートを態々壊す必要もないですけど…」
マオ
「…………何で壊しちゃったんだろうな?」
セロフィート
「〈 天族 〉は飛べますし、〈 転移魔法 〉〈 転送魔法 〉も使えますから、抑ゲートを使わなくても≪ 天上界 ≫と≪ 地上界 ≫の往き来は出来ます」
マオ
「そうなんだ?
じゃあ、何でゲートなんて作ったんだ?」
セロフィート
「便利だからでしょうね」
マオ
「便利……だったんだ…」
セロフィート
「人間は欲深いですから、≪ 天上界 ≫の存在を知った人間は≪ 天上界 ≫を手に入れる為、〈 天族 〉に戦いを挑んだのかも知れません」
マオ
「人間が〈 天族 〉に??
勝負になるのかよ?」
セロフィート
「なる訳ないです。
〈 魔法 〉の存在を知らない人間が、〈 古代魔法 〉を使いこなす〈 天族 〉に敵うと思います?
軍艦にヒラヒラと舞う木の葉を投げる様なものです」
マオ
「…………だよな…。
ははは…」
セロフィート
「其の頃には危険な〈 古代魔法 〉に代わり、〈 元素魔法 〉が普及してましたから、〈 古代魔法 〉は廃れつつありました。
〈 古代魔法 〉よりも弱い威力と範囲の〈 元素魔法 〉でも、人間側には脅威だった筈です」
マオ
「そう…だよな…。
でもさ、人間だって〈 元素魔法 〉を使える様になったんだろ?
そうなったら〈 天族 〉にも被害が出たんじゃないのか?」
セロフィート
「人間が発動させる〈 元素魔法 〉と〈 天族 〉が発動させる〈 元素魔法 〉を同一視してはいけません。
〈 元素魔法 〉である事は変わらなくとも威力も範囲も桁違いです」
マオ
「そんなに違うの??」
セロフィート
「──仮に、此のクッキーを人間の〈 元素魔法 〉とします。
〈 天族 〉の〈 元素魔法 〉は彼の《 小屋 》ぐらいです。
分かります?
差があり過ぎて全く勝負になりません」
マオ
「…………そだな…。
勝ち目…全然ないよな…」
別サイトで使っている設定をぶっ込みました。
〈 器人形 〉の秘密は何処へやら──、な展開になりました。