4.浜辺 3 〜 差し入れ 3 〜
セロフィート
「傍観魔だなんて…。
犯罪者みたいに言わないでください」
マオ
「犯罪者みたいなもんだろ!
オレもセロも!」
セロフィート
「そうです?」
マオ
「そうだよ!
──で、《 洞窟 》は何時出来るんだ?」
セロフィート
「もう出来てます」
マオ
「は?
出来てる??
どゆこと??」
セロフィート
「マオが寝てる間に済んでます。
何時でも暮らせます」
マオ
「えっ…そうなの?!
オレが寝てる間に──って事は、昨夜から準備してたって事じゃんか!!」
セロフィート
「暇でしたし」
マオ
「暇だからって地下に《 洞窟 》作っちゃうのかよ!!」
セロフィート
「作れますし」
マオ
「………………そですか…。
じゃあさ、何時教えるんだ?」
セロフィート
「今は人工も少ないですし、態々教える必要はないです。
人工が増えて≪ 無人島 ≫が窮屈になった時にでも教えれば良いです。
適切な時機は〈 器人形 〉に任せてます」
マオ
「えぇっ?!
直ぐに教えないのかよ?」
セロフィート
「生態系を整える必要もあります」
マオ
「『 何時でも暮らせる 』って、さっき言ったばっかじゃないか」
セロフィート
「暮らそうと思えば暮らせます。
食料となる動物,鳥類,魚介等,昆虫類が未だ居ない状態なだけです」
マオ
「其で生態系を整える必要があるのか?」
セロフィート
「そうです。
──マオ、頑張ってる皆さんへ差し入れを持って行ってください」
マオ
「はぁ?
何??
オレ、1人で持って行けって言うのかよ?
セロも一緒に──」
セロフィート
「言葉を通じる様にしときました。
1人で行っても大丈夫です」
マオ
「其って……、 “ 奴等 ” ってのと戦ってた時みたいな感じか?
何言ってるのか全然分からなかったのに、途中から話してる言葉が分かる様になってたんだよな。
結局、其に気が付いたのは対決が終わった後だったけど……」
セロフィート
「其の時と同じです」
マオ
「だったら、初めから分かる様にしてくれても良いだろ?」
セロフィート
「其は出来ません。
マオは人形のワタシとは違いますし。
慣らす迄に時間が掛かるのは仕方ないです」
マオ
「時間掛かるんだ…。
そういう事は前以て教えてほしいんだけど…」
セロフィート
「そんな事したら面白くないです」
マオ
「──セロ!
『 面白い 』『 面白くない 』で決めるなよ!!」
セロフィート
「今更です」
マオ
「そうだけど……。
…………まぁ、いいや。
差し入れ持ってくよ…」
セロフィート
「お願いします」
セロフィートは息をするのと同じ様に〈 古代魔法 〉を発動させる。
地面に〈 魔法陣 〉が現れると、数体の〈 器人形 〉が〈 魔法陣 〉の中から浮き上がって来た。
どの〈 器人形 〉も20体の〈 器人形 〉と同様に神獣フェンリルをイメージした美しい白銀の髪 ,獣耳,尻尾,が生えている。
何故、神獣フェンリルをイメージした〈 器人形 〉にしたのかと言うと、セロフィートの遊び心だ。
襟首辺り迄切られたオカッパ髪の〈 器人形 〉達は、差し入れ料理が盛り付けられた皿を持つと歩き出した。
テキパキと動く〈 器人形 〉に遅れを取ったマオも慌てて歩き出した。
〈 器人形 〉とマオを見送ったセロフィートは、何時の間にやら出現している椅子に座ったセロフィートは、テーブルの上に置かれている “ 魔法のティーポット ” を持ち、ティーカップの中に紅茶を注いだ。
セロフィートは優雅なお茶の時間を1人で楽しむのだった。