4.治療小屋 3 〜 選択 3 〜
マオ
「……どういう事だよ?」
セロフィート
「早い話が『 両親がスーパーマンでも子供や子孫はスーパーマンになれない 』という事です」
マオ
「……スーパーマン??」
セロフィート
「分かりません?
不細工が整形しました。
整形した不細工同士が結婚しました。
生まれた子供は夫婦に似ても似つかない不細工でした。
分かります?」
マオ
「整形??」
セロフィート
「分かりませんか…」
マオ
「抑…『 スーパーマン 』とか『 整形 』が分からないよ…」
セロフィート
「そっちでしたか。
『 スーパーマン 』を簡単に例えるなら、優れた能力を授かった〈 救世主 〉の類いに入ります。
トイチの言葉で言うなら、『 チートな勇者 』の類いです」
マオ
「えぇと…『 異世界転生 』とか『 異世界召喚 』の物語には欠かせない、神様から便利な力を授けられたハーレムウハウハの主人公──的なアレでいいのかな?」
セロフィート
「そうです」
マオ
「『 スーパーマン 』がどんなのかは何となく想像出来たよ。
──で、『 整形 』って何??」
セロフィート
「自分の顔を手術して別人の顔に変える事です」
マオ
「そんな事が出来るのか?」
セロフィート
「医療が進歩した世界では可能でした」
マオ
「そうなんだ…」
セロフィート
「整形は遺伝しません。
整形夫婦の顔は元が不細工ですから、生まれる子供の顔は不細工です」
マオ
「じゃあ…〈 時空の亀裂 〉を通った〈 亜人種 〉は整形夫婦みないなもんで、子供や子孫は整形夫婦から生まれた不細工な子供みたいなもん──って事で良いのか?」
セロフィート
「そうです」
マオ
「子供や子孫も負のエネルギーを受けないと生きられない体質じゃないのかよ?」
セロフィート
「勿論、負のエネルギーを受けなければ生きられない体質にはなってます」
マオ
「なってはいるけど…??」
セロフィート
「子供の身体には掛かる負担が大きい様です。
負のエネルギーを受けなければ生きられない体質ではあるものの、身体が負のエネルギーに耐えられない様です」
マオ
「其って…ヤバイの??」
セロフィート
「身体が負のエネルギーに耐えられない──という事は、幼くして死に至ります。
明日を迎える前に此の子達は息を引き取ってました。
此の子達は運が良かったです」
マオ
「…………じゃあ、セロとオレが此の島に来なかったら……此の子達は助からずに死んでたのか?」
セロフィート
「そうなります。
子供の人数が少ないですし、今迄にも子供達が原因不明で亡くなっているのでしょう」
マオ
「マジかよ……」
セロフィート
「お墓が見当たりませんでしたし、もしかしたら食したのかも知れません」
マオ
「え゛っ?!
家族同然に暮らしてる仲間の死体を食べる──っていうのかよ?!」
セロフィート
「実際にどうしてるかは聞けは良い事です。
然し、彼等は人間より遥かに肉食です。
魚肉と果物だけでは足りてないでしょう。
此の島で手に入る肉と言えば、原因不明で死んだ子供達の死体か、凶暴化した仲間を殺害した死体ぐらいです。
死者の弔い方は色々ありますし、死者の肉を喰らい弔う独自の文化がないとも言えません」
マオ
「…………其を〈 亜人種 〉がしてるかも知れない──って言うのかよ?!」
セロフィート
「人間も死体を加工して食べますし。
其の対象が同族の死体──というだけです。
〈 亜人種 〉は族内食人かも知れません」
マオ
「………………」
セロフィート
「なんちゃって♪」
マオ
「セ、セロ??」
セロフィート
「ふふふ。
マオの顔、面白いです♪
信じました?」
マオ
「セロ!(////)
冗談だったのかよ!」
セロフィート
「だって…。
マオが真剣な顔してくれますし…。
つい♪」
マオ
「セぇロぉ〜〜〜〜!!」
セロフィート
「はいはい。
痛いですから、叩かないでください」
セロフィートにからかわれたと思ったマオは、両手を握り、拳にするとセロフィートをポカポカと叩いた。
マオ
「──もう!
笑えない冗談なんて言うなよな!」
セロフィート
「はいはい。
ワタシが悪かったです。
怒らないでください」
マオ
「〜〜〜〜反省してんのかよ?」
セロフィート
「ちゃんとしてます」
マオ
「………………今夜は、抱き枕の刑だからな!!」
セロフィート
「はいはい。
覚えときます」
マオ
「たく……(////)
──其で、此の子達は何時頃元気になるんだ?」
セロフィート
「30分程寝かせれば良いです」
マオ
「30分か…。
其だけで本当に症状が治って命が助かるんだな?」