✅ ハリンポルト 1 / おかしな飲食店 1
──*──*──*── ハリンポルト
セロフィートに促される形で “ ハリンポルト ” の店内へ入ったマオは、店内を見て言葉を失った。
確かにクラッドウォウノの言う通り、決して大きな飲食店ではないものの、小さいなりにも手入れの行き届いているお洒落な飲食店だったからだ。
どちらかと言えば、女性受けを意識して内装がされている様に感じる。
マオにしてみれば、何故だか少しムズ痒さを感じる店内だ。
店員であるウェイターもウェイトレスも何故か頭の上に兎の耳飾りを付けて働いている。
如何わしい店ではないのだろうが、ピンク感が漂っている。
マオ
「 ……………………何……此処…?? 」
其がクラッドウォウノに紹介された “ ハリンポルト ” に入ったマオの第一声だった。
セロフィート
「 クラウノさんの息子さん夫婦が切り盛りしている飲食店でしょう? 」
マオ
「 ……………………。
{ そうなのかな??
本当にそうなの??
実は入る店を間違えてたり…… }」
セロフィート
「 失礼ですよ、マオ。
可愛らしい店内です。
少女の格好をしたマオと来たいお店です 」
マオ
「 マジで止めて……。
女装なんてしないんだからな! 」
セロフィート
「 残念です 」
マオ
「 本当に残念そうな顔すんな!!
{ 其にしても何で店員は皆、兎の耳を付けてるんだ??
頭がオカシイのかな? }」
セロフィート
「 マオ……失礼です。
壁に貼られている貼り紙を見てください。
何と書かれてます? 」
マオ
「 えぇと…… “ 4月はバァ〜ニィ〜Day ” って書いてあるな。
“ バァ〜ニィ〜Dayの期間中は、店員が癒しの兎耳を付けて、御客様を御出迎え,御奉仕致します ” だってさ 」
ウェイトレス
「 お帰りなさいませ〜〜〜…ぴょん♪
御兄様,お坊っちゃま…ぴょん♪ 」
マオ
「 ………………は…い?? 」
セロフィート
「 ただいま帰りました。
ワタシの可愛い兎さん 」
ウェイトレス
「 うきゅ〜〜〜〜ん(////)」
セロフィートがウェイトレスへ、ふわり…と微笑むと、ウェイトレスは顔を真っ赤にさせながら、目をハートにさせて倒れてしまった。
ウェイトレスは実に幸せそうな表情で、口から涎を惜しみ無く垂れ流している。
マオ
「 ちょっ?!
セロさん!!
ウェイトレスに何したんだよ!! 」
セロフィート
「 何かした様に見えました? 」
マオ
「 セロの笑顔は凶器だろ! 」
セロフィート
「 言い過ぎです… 」
マオ
「 全然だろ! 」
ウェイター
「 お席に御案内致します…ぴょん♪ 」
セロフィート
「 有り難う御座います 」
マオ
「 あ…彼の……倒れてるウェイトレスさんなんだけど…… 」
ウェイター
「 大丈夫です…ぴょん♪
此はウェイトレスのドッキリです…ぴょん♪ 」
マオ
「 ドッキリ?? 」
ウェイター
「 此方の仕込み──、謂わば “ サービス ” です…ぴょん♪ 」
マオ
「 サービス?? 」
ウェイトレス
「 初めて御来店してくださった御客様へインパクトのあるサプライズをさせて頂いております…ぴょん♪ 」
マオ
「( あ、復活した… )
何だ…演技だったんだな。
良かった〜〜〜(////)」
ウェイトレス
「 お水とメニューをお持ち致します。
お席でお待ちください 」
セロフィート
「 有り難う御座います。
マオ、行きましょう 」
マオ
「 う、うん…。
あっ、セロ!
渡さなくていいのか? 」
セロフィート
「 はて?
何をです? 」
マオ
「 何惚けてんだよ!
クラウノさんから貰った名刺だよ 」
セロフィート
「 もう渡しました 」
マオ
「 えっ?!
何時だよ!? 」
セロフィート
「 さて?
何時でしょう?
ふふふ♪ 」
マオ
「 セロ!! 」
セロフィート
「 マオ、店内で大声は控えてください。
{ 大声はベッドの中で出してください }」
マオ
「 なっ?!(////)
{ セロっ〜〜〜!!(////) }」
セロフィートに耳元で囁かれたマオは、耳迄真っ赤にさせ、セロフィートの腰辺りをポコポコと叩いた。
セロフィート
「 腕を上げましたね、マオ♪ 」
マオ
「{ オレは怒ってるんですけど!! }」
セロフィート
「 ──マオ、座りましょう 」
マオ
「{ ………………後で覚えてろよ! }」
セロフィート
「 はいはい♪ 」
仲睦まじい兄弟の様なセロフィートとマオは、空いている窓際の席へ案内された。
ウェイターが座り易い様に椅子を後ろへ引いてくれる。
マオ
「 有り難う(////)」
ウェイター
「 どう致しまして。
ごゆっくり 」
セロフィートとマオが椅子に腰を下ろして座ったのを確認したウェイターは軽く会釈をするとバックルームへ下がって行った。
マオ
「{ 窓際で食べるのかよ…。
通行人に見られるから恥ずかしいよ…(////) }」
セロフィート
「 おや?
{ マオは何時から自意識過剰になりました? }」
マオ
「 どういう意味だよ! 」
セロフィート
「{ 其のままの意味です }」
マオ
「{ セロは恥ずかしくないのかよ?
通行人に食べてる所をジロジロ見られるんだぞ! }」
セロフィート
「 慣れてますし 」
マオ
「 オレは慣れてないよ… 」