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恐怖と転生

初めて書きます、よろしくお願いします。



 日本 東京


 国内において屈指の入試難関の高等学校に通う俺こと宝徳(ほうとく) 凉輔(りょうすけ)はいつもと変わらない通学路を歩いていた。


 1年無遅刻無欠席の皆勤賞だ。2年にあがった今年もそうなるよう努めるつもりだ。


 「やっほ! リョウ! おはよ! 何か考え事してた?」

 「おはようケイ いや特に何も考えてなかったよ。」


 肩を叩きつつ話しかけてきたのは戸谷(とたに) 圭子(けいこ)。みんな愛称でケイと呼ぶ。黒髪パッツンセミロングで文系女子が似合う幼馴染みの一人。


 「そっか それでさ! 今日の帰りどこか行かない? 久々にみんなでカラオケとかどう?」と意気揚々に会話が始まる。

 「んーすまん 今日用事あるんだ あいつら二人と楽しんでこいよ」

 「えー?! 私たちとその用事とどっちが大事なのー?」

 「用事の方 またこんど誘ってくれ そのときは絶対行くから」

 「ちぇー 即答かぁー しょうがないなぁ 今回は我慢したげる」

 「すまんな どこかで埋め合わせするから」


 とまぁ、いつもこんな感じで登校している。そろそろ校門が見え通過しようとしたとき、

 「あ あぶなーい! そこの男子! 上! 上!」

 「.....え?」

 頭上にはサッカーボールが飛んできており、もう避ける距離はなくそれはそのまま俺の額に直撃した。


 「っ痛ってぇ! タッキーお前! どこ向かって蹴ってんだ!仮にもサッカー部のエースだろ!?」

 「ごめんごめん って蹴ったの俺じゃねぇから 1年の新入りが下手くそなんだよ それと仮じゃなくてちゃんとエースだから間違えんな」


 タッキーこと滝川(たきかわ) 大輝(だいき)。サッカー部で1年の頃からエースに選ばれるほど上手い。勉強よりかは体を動かすのが好きなやつ。幼馴染みの一人。


 「はいはい ジュース1本で許してやっから 蹴った1年しごきあげとけよ?」

 「あぁ そうするわ そういやケイ お前生徒会良かったのか? 今日は朝に集会するって言ってなかったか? 会長が探してたぞ?」

 「あ"! いっけない忘れてた! リョウ タッキー また教室でね! じゃっ」

 「じゃあ俺も教室行くから残りの朝練がんばれタッキー」

 「おうよ」


 靴箱に駆けていくケイの後ろ姿を視界に入れつつ俺も靴箱へ歩を進める。

 教室に着き席に座ったところで、

 「リョウ おは! なぁ今日の古典の課題やったか? 俺忘れててさ見してくんない! 頼む!」

 「またかぁ? こないだも見せただろ? しょうがないなぁ」


 この課題忘れ常習犯は宮元(みやもと) 拓哉(たくや)。愛称はタク、ハンド部で運動神経は多分誰よりも抜群なんだが計画性というか、頭が少し残念な幼馴染みの一人。


 「ありがとっ! リョウ! すぐ写すから待ってて」

 「あぁ ハンド部の練習もいいけど課題もちゃんとやれよな?」

 「わーってますって 次から気を付けまー」

 「ほんとかよ....」


 どうせまた忘れて泣きついてくるんだろうなぁと思う俺だった。


 ここまでの流れが高校1年から出来上がった流れである。まぁ幼稚園から付き合いだし、小学校の頃もそんな変わらないと言えば変わらないなぁとも思う。

 そう、これが俺、宝徳 凉輔の日常だ。




 ----時間は経ち、業後。

 生徒のほとんどは帰宅準備をして帰り始めている。

 「リョウいるー?」

 「あぁケイか いるぞ どうしたの?」

 「気が変わって行くとか言い出さないかなーって一応様子見に来た どう行かない? 久々のカ・ラ・オ・ケ」

 「朝も言ったとおり用事があるからすまんな」

 「やっぱかぁ じゃあまた明日だね またね」

 「おう また明日 じゃあな」


 教室から出てくケイを見送りつつ俺も自分の帰宅準備を整える。

 「さて俺も帰るか」

 なんて独り言を呟き帰途につく。


 ここで少しくだらない話をしよう、俺こと宝徳 凉輔。この宝徳とはこの国きっての一大財閥である。まぁ俺からしたら財閥自体珍しくない、幼馴染みの3人もなにかしらの財閥なんだ。

 それで財閥だからなんだと言うのだと聞きたいだろう、宝徳財閥というのは身近な家電製品から自動車、最大規模でロケットまで手掛けている超有名財閥なのである。

 そして俺の両親、というよりも母は優しいのだが父が厳しい。めちゃくちゃ厳しい。殴られこそはしないものの何かしら失敗すれば罵詈雑言が飛び、反省文を書かされ、それが経験系であるのならば練習量をこれでもかと増やされる。もう一度言う、めちゃくちゃ厳しい。

 まぁこれが父の愛情表現なんだと今は受け入れている(納得はしていない)。財閥を継がせるに相応しくなるようにと。でも俺はそんな子想いの親に謝らなければならないことがある。


 俺、『オタク』なんだ。


 小学生の頃、その日のやることを終わらせた俺はテレビお電源をつけた。偶然、映し出されたチャンネルには子供に人気のアニメがやっていた。そこに偶然、父が通りかかった。もう言わなくてもお分かりだろう。父はキレた。これ以上ないほどキレた。あの時投げ掛けられた言葉を要約すると「俗世に触れるな、お前にはまだ早い」だ。

 しかし、聞かれれば周りがビックリするほどに俺は二次元文化に嵌まった、嵌まってしまった。それ以来、俺はひそかにアニメやら二次元文化を楽しんでいる。もちろんいまだにバレたことはない。今日はその二次元を楽しむ中でも一層楽しみしていた新季アニメの放送日と新刊の発売日である。

 昨今、『オタク』に対して向けられる視線はヤバイやつを見る目で見られる。犯罪者予備軍なんて言われてもいるため迂闊に「自分はオタクです」なんて言えない、言えば社会的死は確実!お馴染みとさえ書店に行かないのはあいつら伝いに親の耳にそのことが入るのを恐れたためだ。

 さてそんなくだらないことを長々と考えてしまったが、新刊(ブツ)を手に入れた俺は飛ぶように体が軽かった。しかし、


 「む?赤信号か、スクランブルだし少し時間かかりそうだな。裏手の路地裏からたしか通り抜けできたはずだな、そっちから帰るか」


 ()()()()()()()()()()()()()()


 新刊読みたさのために俺はその日、近道という()()()を選んだ。そう、選んでしまった。


 時間は夕方だが路地裏は人通りはなく暗め。不審者と遭遇しそうな悪い想像を軽く振り払うように頭を振る。

 路地裏の中間辺りまで進むと居酒屋の裏口であろう壁際に設置されたゴミ箱でモゾモゾ動いているものをみつける。


 (こんなところで野良猫か? 珍しいな)


 しかし、歩を進めるとそれが認識違いだと気づかされる。


 (猫じゃないなこの大きさは...犬? 野犬だっていうのか?

こんな都会で....っ!!?)


 凉輔の存在に気づいた()()はこちらを向いた。黒い毛並みは長く漆黒という言葉を彷彿させる、野犬にしては似つかない引き締まった足、そして犬とは大きくかけ離れた存在だと証明するのは8つに光る赤い目。


 身の危険を感じた俺はその場でゆっくり後ずさる。しかし犬擬きもその歩幅に合わせるように近づく。まるで獲物逃さないように。


−ーァオォゥゥゥゥゥン!


 「遠吠え!? もしかして仲間を呼んだのか? まずい なんでこんな都会にとか考えてる場合じゃないな なんとかして逃げられないか?」


 しかし、そんなことを思ったのも束の間、後方には同じような犬擬きが3頭並んでいた。しかも正面の1頭の横にも2頭、合計6頭に挟まれてしまった。


 「まじかよ 6頭も卑怯じゃないか? ケイ達に付いていけばよかったなんて想像できるかよ....」

 

 犬擬きは威嚇しながら次第に距離を縮めている。口から垂れた涎がアスファルトを溶かしていることに気づいたときには


  ーーーもう遅かった。


 一斉に駆け出した犬擬きは凉輔の体に喰らいつく。肩に、腕に、腹に、足に。目でかろうじて追える速さの相手に避けることはできず、凉輔はなすがままにその身を喰われる。


 「あああああっ!!! 痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇっ!!! はぁ....はぁ....なんだっていうんだ....漫画読みたさに近道しただけっだっていうのに....ツいてない....」


 最初こそ襲いくる痛みに思考が奪われていたものの、噛みつかれた部位はその凶暴な歯に骨を折られ、肉を断ち切り、皮膚を溶かされる。言うまでもなく流れ出る血は止まることがない。そして血を流しすぎたことにより痛覚は感じなくなっていった。

 薄れていく意識のなかで凉輔は願った。


 (こんなわけのわからない犬擬きに殺されるなんて....)

 (家を継ぐつもりがなかったから罰が下ったのかな....)

 (ごめんよ親父 親父ほど出世欲のない俺は二次元に逃げてたよ....)

 (ごめんよ母さん いつも優しくしてくれたのに期待に応えられなくて....飯すごく美味しかったなぁ....)


 (どうせ死ぬなら好きなジャンルの『異世界転生』でもさせてくれないかなぁ....)



 (そしたら こんな理不尽も払い除けられるように....強く.....なれるの....に.....)






 意識と呼ぶには曖昧で形容しがたい空間に俺?はいた。

 熱もなく、音もなく、ただ漫然とした空間を漂っているような薄い感覚。

 

 しかし長かったような短かったっようなその時間はすぐ終わりを迎える。

 次第に周囲が白く変化し始めたのだ。


 単純な思考しかできなかった意識が現状を理解しようと覚醒していくのが感じる。



 そう、これは、、知っている、、、目覚めだーーーー






 目を覚ますとそこは見慣れない木々が鬱蒼としていた。



こんにちは、初めまして。自分の想像空想妄想を形にしたくて投稿しました。文字にするのは初めてで、文章力も語彙力も自信がないですが、生暖かく読んでもらえたら幸いです。

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