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小鳥と茜色の空

作者: ぽこ

空を飛べない小鳥がいた。

巣立ちの日、兄弟たちは悠々と大空に飛び立っていった。

けれど、そんな中、飛ぶことができず地に落ちた小鳥がいた。

飛べない小鳥は何度も羽を動かすが、飛べそうな気配は全くない。

そんな小鳥を見捨て、両親も兄弟たちもどこかに行ってしまった。

地面を歩きながら餌を探し、来る日も来る日も小鳥は飛ぶ練習をする。

けれど1回だって飛べたことはない。

飛べない小鳥にとって、空は遠い存在だった。

それでも小鳥は飛びたくて、今日も高い場所から飛び降り続けた。

その度、足や羽に怪我が増えていく。

満身創痍になっても、小鳥はやめなかった。

体の手入れをして何度も何度も飛び降りた。



ある日、小鳥は子猫に襲われてしまう。

命からがら逃げ切った小鳥だったが、すぐによろめき倒れてしまう。

降りだした冷たい雨は、小鳥の体力をじわじわと奪っていく。

小鳥は茂みの中で雨宿りをしながら、体の手入れをしようとした。

けれど、手入れを始めることはなかった。

羽は抜け落ち、深い噛み傷からは血が滲んでいる。

足は自身を支えるのがやっとで、視界も朧気だった。

最期を悟った小鳥は、一度でいいから空を飛びたいと願った。

雨がやむと水溜まりには、夕暮れが映り込んでいた。

水溜まりに落ちた夕空が空でないことを小鳥はわかっていた。

けれども小鳥はその茜色に飛び込み、幸せそうに羽ばたいて。

そして、動かなくなった。

Twitterで書いた140文字小説を手直ししたものです。

お題:『小鳥』『雨宿り』『水たまり』


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